研究課題/領域番号 |
24790611
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
井手野 由季 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60616324)
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キーワード | 前向きコホート研究 / 身体活動 / 認知機能 / 女性の健康 / 日本ナースヘルス研究 |
研究概要 |
本研究「前向き女性コホートにおける身体活動と認知機能の関係」は、高齢者のADLを低下させ、介護を必要とさせる認知症の予防につながる効果的な身体活動についての提案を行うことを目的としている。そのためには、身体活動と認知機能を正確に評価する必要がある。平成25年度は、平成24年度に引き続き、前向き女性コホート研究である日本ナースヘルス研究(JNHS)で使用している自己記入式調査票における身体活動に関する調査項目の妥当性の検討と簡易な調査項目からエネルギー消費量を推定するための活動強度の推定を実施した。認知機能の評価に関する文献の検討も同時に行った。 調査票による身体活動調査の妥当性は、これまでも検討されてきた。しかし、この際に重要な活動強度の割り当てに関しては、ほとんど検討されていない。本研究では、群馬パイロット研究参加者のうち、身体活動調査への参加に同意のえられた51名を対象に、加速度センサー活動計を用いて、自己記入式調査票における身体活動に関する調査項目に相当する活動強度を推定した(勤務:座位1.2METs、立位1.5METs、歩行1.9METs、力仕事4.3METs、運動:軽度2.2METs、中等度3.6METs、激しい9.1METs)。過小評価の傾向はあるが、推定METs値を使用することによって、エネルギー消費量や活動時間の変化などを相対的に把握することができ、疫学研究での使用が有効であることがわかった。現在、論文投稿の準備中である。 認知機能の評価に関しては、現在使用されている評価法の多くが面接形式での実施を想定しており、また軽度の認知低下を評価できる方法が少ない。対象者にストレスを与えることなく、調査票でスクリーニングが可能な評価項目を策定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
JNHSの12年後調査に、認知機能に関する調査項目を十分に盛り込むことができなかったため、「やや遅れている」とした。自己記入式調査票で軽度認知機能低下をスクリーニングするための有効な調査票目の策定に時間を要している。 身体活動の評価に関しては、ほぼ予定通り進めることができているが、第2次登録者での10年後調査の回収率が低く、第1次登録者のデータとともに分析する予定が平成26年度にずれこんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
自記式の認知機能に関する調査に有効な項目を策定し、追跡調査とは別途実施する。同時に、回答の妥当性を検討するための認知機能に関する詳細調査票の作成も進め、確認作業を実施していく予定である。また、第2次登録者における10年後調査の未回答者への回答催促・調査票再送付などを通して、回収率向上を図り、第1次登録者のデータとともに分析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、JNHS第2次登録者での10年後調査を実施し、第1次登録者のデータとともに分析する予定であったが、回収率が低く、未回答者への回答催促・調査票再送付に時間を要し、データ入力の依頼、および論文投稿を実施することができなかったため、未使用額が生じた。 このため、第2次登録者の10年後調査データの入力依頼、学会発表・論文投稿を平成26年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。
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