研究実績の概要 |
本研究「前向き女性コホートにおける身体活動と認知機能の関係」は、高齢者のADLを低下させ、介護を必要とさせる認知症の予防につながる効果的な身体活動についての提案を行うために、身体活動および認知機能を正確に評価することを目的とした。 身体活動を評価するために、日本ナースヘルス研究(JNHS)ベースライン調査における身体活動調査項目(自記式)の妥当性の検討を行った。まず、群馬パイロット研究参加者698名のうち、身体活動詳細調査への参加に同意をえられた51名を対象として、連続した7日間の加速度センサー活動計のデータをもとに、JNHSベースライン調査における身体活動調査項目(自記式)に相当する活動強度を以下のように推定した:勤務-座位1.2 METs、立位1.6 METs、徒歩1.8 METs、力仕事4.5 METs、運動-軽度2.4 METs、中等度4.4 METs、強度9.4 METs。これらの推定活動強度を用いて、JNHSベースライン調査に回答のあった49,927名のデータを解析した結果、3 METs以上の身体活動(MVPA)に従事する時間が年齢とともに直線的に減少することが示された。これは先行研究を支持する結果であり、JNHSベースラインの身体活動調査項目および推定活動強度が、疫学調査として十分に有用であることを示しているといえる。現在、論文投稿中である。 認知機能に関しては、全国第1次コホートの12年後調査票の記入日、生年月日、年齢への回答を分析したところ、記入日および年齢の誤答は年齢とともに増加する傾向が確認された。14年後調査に向け、加齢以上の認知機能の低下を示す他の有効な項目の策定を継続していく予定である。
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