研究概要 |
日本における人口レベルでの人口動態調査出生票・死産票を用いた単胎・双胎症例を対象としたpopulation-basedの在胎週数別出生時体重基準値の推定を行い、スプライン関数によって平滑化した基準曲線を作成した。また、1979年から2010年の人口動態調査・出生票を用いて出生体重の経年変化を明らかにし、近年増加する低出生体重児の増加の経年推移とその要因について分析した。研究デザインは、人口レベルの後ろ向きコホート研究である。在胎期間別出生体重曲線は、スプライン曲線を用いて10、25、50、75、90%タイル値を算出し、曲線を描いた。1年後までの乳児の生存に対して週数、出生体重、経産回数、母の年齢、ペア内の体重差を説明変数としてロジスティック回帰を行った。また、出産週数別に死亡率を算出した。双胎の早期新生児死亡のハイリスクとなるのは、24 週未満の早産児、母親の年齢が24歳以下、ペア間の体重差が大きいSGA児であった。長期的な推移の要因分析は、人口動態調査の出生票から、単胎で出生した低出生体重児(出生体重が2500g未満)の割合、早産(出生週数が37週未満)の割合、初経産、母親年齢、児性別、出生体重、出生時妊娠週数、出生曜日、出生地域 (都市部1, 地方0)などの変数を抽出し、ロジスティック回帰にて要因を分析した。結果は、高齢出産の低出生体重児出生のリスクは、近年減少しており、差はなかった。早産に限ると、高齢出産は1.5倍リスクは高いが、減少傾向であった。これは、20代での早産および低出生体重児出生が増加している影響と考えられる。地方と都市部での差はみられなかった。今後は、若い世代の低出生体重児出生予防の対策が課題となる。現在論文投稿中である。
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