研究課題/領域番号 |
24790615
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 知美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (60363371)
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キーワード | ミネラル / PIXE / アトピー性皮膚炎 / 測定誤差 / ロジスティックモデル |
研究概要 |
本研究に先立つ毛髪ミネラル調査(初期調査)の結果がJournal of Trace Elements in Medicine and Biologyに受理された。 原著論文の内容を平易な文章でまとめた『初期調査の解析結果報告』のパンフレットを作成し、初期調査に協力してくださった1036組の母子のご自宅に郵送した。1か月健診と10か月健診の双方を受診した834組には『追加調査の依頼文書』を同封して追加調査(生後6年間のアトピー性皮膚炎の罹患歴に関するアンケートと、6本程度の毛髪採取)への協力を依頼し、209組の協力を得た。 追加調査データは、長崎大学環境科学部高辻研究室内に設置した調査事務局に送付してもらい、そこで、アンケートデータの入力作業と、毛髪ミネラル測定用標本(毛髪をアルコール消毒し、約2cm長にカットした後、プレートに貼り付けたもの)を作製した。作製した標本は岩手医科大学サイクロトロンセンターに送付し、毛髪中の32種類のミネラル量を、proton-induced x-ray emission (PIXE分析:X線発光分光)を用いて計測した。尚、アンケートデータは二人が独立に入力し、ダブル入力による品質管理を行った。毛髪の郵送に関しては匿名化を行い、個人情報保護も徹底している。 追跡率が25%と低いので、統計解析の際に検出力の低下が予想される。また検出力の低下は、毛髪ミネラル計測値の測定誤差によっても引き起こされ、重要な研究課題とされている。現在、初期調査のデータを利用して、測定誤差(個人内変動)の量的評価と、測定誤差の影響を補正する方法の予備的検討も実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は統計解析および調査参加母子への結果報告を行う予定であったが、PIXE分析の遅延と、その確認作業に時間を要した。事業期間の延長申請を行い、平成25年度はデータ固定までと予定を変更し、それは3月に完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、統計解析、論文作成、結果の公表を行う。 統計解析では、「6年間のアトピー性皮膚炎の発症と治癒」を目的変数とするので、ある一時点でのイベントを目的変数とする場合のように単純なモデルでは済まない。統計モデルの構築に際しては、理論と解析プログラム共に工夫が必要となる。 また、追跡率が25%と低いので、症例数不足と選択バイアスの影響が問題になる。初期調査のデータも活用して、結果の解釈は慎重に行う。 さらに、初期調査時から取り組んでいる、毛髪PIXE分析の測定誤差の問題もまだ残されている。測定誤差の影響を補正するための方法論についての情報収集や予備的な検討は行ってきたので、追加調査のミネラルデータも加えて、研究を加速させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は統計解析および調査参加母子への結果報告を行う予定であったが、PIXE分析結果の変換時にミスが発生し、その確認作業に時間を要した。そのため、今年度はデータ固定までと計画を変更し、事業を1年間延長した。 共同研究者が大阪・長崎・東京・福岡・岩手と離れているので、研究打ち合わせのための旅費が必要となる。 また、国内外で開催される学会での発表や、追加調査結果をパンフレットにして配布するなど、初期調査を含む研究の成果を広く公表するために使用する。 大量のテータ解析作業の補助、結果報告のパンフレットの作成および郵送作業、資料整理等のアルバイト費としても使用する予定である。
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