平成25年度に行ったサーベイ調査・インタビュー調査・フォーカスグループディスカッションに基づき、タグバヌア社会における母子保健普及を阻害する社会的決定要因及びタグバヌア社会の健康に関する価値付けがある程度明らかになった。そこで明らかになった社会的決定要因と健康観に基づき、平成26年度はより有効な母子手帳作成に向けた実践的介入調査を行うと同時に、タグバヌア社会とともに母子手帳を開発する試みを行った。
平成26年4月19日から6月2日にかけて、フィリピンにおいて調査および分析を行った。まず、住民参加型研究手法によって聴取された健康に関する知識が、母子手帳の開発にどのように組み込まれるべきか、どのような要素がタグバヌア社会の母子手帳にとって有効であるかについて、フィリピン大学・公衆衛生学院等の協力を得て分析した。次に、そこでの知見をもとに、今度はパラワン諸島コロン島の調査地に入り、タグバヌア現地住民のステークホルダーとの間で開催したワークショップにおいて、調査データの共有が図られるとともに、タグバヌアの伝統的母子保健ケアワーカーとの協働関係が検討された。
平成26年9月6日から27日にかけて、再びコロン島タグバヌア社会においてフィールドワークを実施するとともに、タグバヌア社会の母子保健状況と今後の開発可能性について、現地住民に最終報告を行い、その知見をタグバヌアのステークホルダー等と共有した。なお、タグバヌア社会で行った調査、ワークショップ及び最終報告は、すべてタグバヌアの監督組織の許可を得た。
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