統合失調症者は肥満の有病率が高いことや循環器疾患、糖尿病などの罹患率が高く早期に死亡する割合が高いことが報告されている。肥満や生活習慣病の原因として食生活の影響が指摘されている。しかしながら、統合失調症者は長期の入院や身体的健康への意識の低下、抗精神薬の影響などにより、適切な食生活を送ることについて自信が低下していることが考えられた。そこで、統合失調症者が退院後に地域のなかで食生活に対する自信を測定するための尺度が必要であると考えた。 本研究は、統合失調症者の食生活に対する自己効力感尺度を開発することを目的としている。まず第1段階として、地域で生活している統合失調症者に、「食生活での困りごと」についてインタビューを行いデータを収集した。次に第2段階として、第1段階で集めたデータと先行研究で収集した食生活に関するアイテムをまとめ質問紙を作成した。 今年度は、統合失調症の診断を受けている88名を対象に第2段階で作成した質問紙に回答してもらった。得られたデータを因子分析したところ、21項目、3因子が抽出された。信頼係数を計算したところ、クロンバックα係数は=0.89であった。 次に、基準関連妥当検討のためにRosenburgの自尊感情尺度、坂野らの一般性自己効力感をとりあげた。全21項目の合計得点と各尺度との相関係数は有意な正の相関を示した。下位因子も各尺度との間に有意な正の相関がみられた。 今後は、実際の使用に向けた取り組みに向けて準備を進める必要がある。
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