研究課題/領域番号 |
24790625
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
坪井 聡 自治医科大学, 医学部, 助教 (20453011)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 児童虐待の被害 / 調査票 / 信頼性 / 妥当性 / 翻訳 |
研究概要 |
本研究は、児童虐待の被害を測定するための、既に多言語に翻訳され国際的に用いられているACE studyの調査票の日本語版を作成することを目的としている。本研究の申請時の遂行計画では、初年度(平成24年度)に調査票の日本語訳を作成し、次年度(平成25年度)には、作成した調査票を用いて実際に疫学調査を行い、調査票の信頼性と妥当性を検討し、得られた結果を学術論文として公表することを予定していた。 申請時の研究計画と照らしあわせて平成24年度の研究実績を概説すると、平成24年度は当初の計画通りに研究を推進させることができたと言える。まず、CDCのホームページに公開されているACE Studyで利用された調査票を翻訳会社に送り、和訳を依頼した。また、同時に研究代表者自身も和訳を行い、翻訳会社から返却された和訳と研究代表者自身で和訳した内容を比較検討した。生じた疑問を翻訳会社と確認しながら、最も妥当な和訳を選出し、最終的に1つの調査票を作成した(一時翻訳)。次に、作成した日本語の調査票を、改めて翻訳会社に送り、英訳を依頼した(逆翻訳)。その後、翻訳会社から返却された英訳と、もとの英語版の調査票の内容を研究代表者自身が比較検討し、更に、英語版調査票の作成者らと協議を行い、日本語版の調査票に必要な修正を加え、最終的な日本語版調査票を完成させた。 以上のことから、平成24年度は当初の計画通りに研究を推進することができており、平成25年度も本研究を円滑に推進できるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、平成24年度に予定していたタスクは比較的負担の軽いものであった。また、想定から大きく外れた実際的な障害もなく、現在までのところは当初の予定通りに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度に作成した調査票(最終版)を実際に用いてその信頼性、妥当性を検討する。また、得られた結果を解析し、学会発表や学術雑誌への論文掲載を予定している。 平成25年度には、前年度に作成した調査票(最終版)を実際に用いて、対象者の児童虐待の被害経験を測定する。その後数ヶ月の期間を開け、同一の対象者に対して再度同じ調査票を用いた調査を行う。2度の調査間における回答の違いを検討することで、本調査票の信頼性を評価する。更に、これまでの研究報告により児童虐待の被害経験と関連を持つとされている要因を合わせて調査する。これらの要因が本調査票で得られた児童虐待の被害経験と関連を持つことを確認することで、本調査票の妥当性を検討する。 本調査は、最終産物である日本語版の調査票を公表することで初めて成果を社会に還元することができる。そのため、国内外の学会や学術雑誌へ論文を投稿することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、調査票の和訳や逆翻訳にかかる費用や海外旅費を想定よりも低く抑えることができたこと等により次年度に研究資金が繰り越された。平成25年度は、作成した調査票を用いて実際に調査を行い、データを分析し、学術的に発表をすることを予定している。 上記の計画を円滑に遂行するために、平成25年度は研究費を逐次使用する必要がある。まず、分析に必要な対象者数を十分確保するために、調査活動自体に多くの研究費が必要となる。また、個人情報に加えて、児童虐待の被害経験といった対象者の内面に深く関わる内容を聴取すること等を考え、分析にはインターネットからは遮断されたパソコンを用いる必要がある。さらに、国内外の学会で成果を発表することや学術雑誌へ論文を掲載することで、本研究結果の認知、活用を促す必要がある。これら、大きく3つの分野に研究費を使用することを予定している。
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