研究課題/領域番号 |
24790626
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
吉田 穂波 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 主任研究官 (20626113)
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キーワード | 母子保健 / 災害対応 / 少子化対策 / 研修研究 / 周産期救護 / 防災対策 / 地域連携 |
研究概要 |
東日本大震災後に産婦人科医として妊産婦・乳幼児へのケアをサポートした経験から、災害時の妊産婦・小児救護や地域連携システムについて十分な備えをするべきという認識を持ち、災害時にも耐えうるような母子保健システムの準備、多職種による母子救護研修・訓練内容を開発する目的で研究を行っている。まず、平成25年4月より、関東地域の地方自治体において保健師、助産師、行政官等に発災時の分娩・妊産婦ケア・乳幼児健診等の状況についてインタビューを行った。平成25年9月には自治体と連携した母子救護・研修を企画・立案し、産婦人科医師、助産師、大学関係者、自治体関係者を交え災害対応研修を行った。その一方で、平成25年11月には国立保健医療科学院で健康危機管理訓練を実施する際に、妊産婦・乳幼児を含めた災害時要援護者に向けた取り組みについて地方自治体職員、保健所長、医療関係者へのヒアリングを実施し、災害時の多職種連携システムや妊産婦救護に資するような研修内容を追加した。また、被災地の避難所および病院における防災状況、被害の程度、周産期アウトカムを調査し、データ入力し、解析する予定であり、ほぼ50件の母子診療情報について把握している。また、石巻医療圏合同チームの災害医療カルテ45000件分のデータより、救護所を受診した妊婦、および、乳児の診療経過を解析し、災害直後に必要となる母子ケアの内容について把握し、備蓄品や派遣者に必要となるスキル、医療知識についてまとめ、研修内容に盛り込むプロセスの半分まで進めたところである。避難所における周産期アウトカムに関しては、現在、石巻医療圏、および南三陸地方の保健師、助産師10名からの聞き取りを終えているが、引き続き病院外での産科診療に関し、震災当日に避難所や半壊住宅で分娩介助をした保健師、助産師にインタビューを行い、災害下での分娩状況につき解析を加える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年11月20日に第五子を出産し、産前産後の休暇の取得に伴い、平成25年11月5日より平成26年3月末まで研究を中断したため。
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今後の研究の推進方策 |
災害医療専門家や所属先である国立保健医療科学院の健康危機管理研修チームとともに、全国の災害医療コーディネーターや保健師を対象に、災害時要援護者への支援、災害1週間後から4週間後までの支援における研修内容の開発と研修・教育に携わり、異なる分野・組織・部署の人員が、共通言語を用いて母子を守るチームとして機能できるような研修内容を組み立てていく予定である。 また、母子保健に特化した研修プログラムの効率性や効果について評価を行い、より普遍性のあるものとして今後の震災に応用できるように改善して行くため、どのように研修生の習熟度や有用性の評価が上昇していくかということを統計学的に示す必要がある。 研修と同時に、災害時の妊婦、授乳婦、乳児の受け入れ、対応についての計画すべき内容を研修修了者の所属先に提言し、地域の実情に合わせた災害時母子救護システムを構築できるような「災害時母子支援マニュアル」を作成し、平時からの備えを具体化させるようなプロモーションを行うことも本研究の意義の一つである。
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次年度の研究費の使用計画 |
産後の休暇の取得に伴い、平成25年11月5日より平成26年3月末まで研究を中断し、平成26年度への延長申請を受理していただいたため。 引き続き、母子保健に特化した研修プログラムの効率性や効果について評価・検証を積み重ねながら、より普遍性のある研修内容として今後の震災で実際に活用できるようなものを開発する予定である。
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