研究課題/領域番号 |
24790639
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30586425)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 敗血症 / 肝臓 / CPS1 |
研究概要 |
敗血症は、一旦発症すると多臓器不全を経て約半数が死に至る、極めて重篤な病態である。しかし、早期診断に有用なマーカーが少ないため、法医解剖において敗血症発症後短時間で死亡した症例などでは診断が困難である事は少なくない。今回我々は、敗血症ラットの早期診断に有用なバイオマーカー検索目的に、ラット腹腔内に大腸菌の菌体内毒素であるリポポリサッカライド(LPS)15mg/kgを投与して敗血症モデルラットを作成し、肝臓を採取して比較プロテオーム解析による敗血症関連タンパク質の同定を行った。また、敗血症病態における肝障害の評価として、血清マーカー、タンパク解析、免疫染色、電子顕微鏡などを用いて評価した。その結果、敗血症を惹起させたラットでは、肝細胞障害に先行して、肝臓のミトコンドリアに豊富に存在するカルバモイルリン酸シンターゼ(CPS1)が著明に低下、血中ではごく早期に上昇する事が分かった。今後、詳細な分子機構について検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
敗血症を誘導したラットの肝臓を用いて行った比較プロテオーム解析によって、カルバモイルリン酸シンターゼ(CPS1)が著明に変動する事が明白であったため、当初の計画よりスムーズに計画が遂行された。LPS投与によりミトコンドリア障害が起こること、肝臓ミトコンドリア主要タンパクであるカルバモイルリン酸シンターゼ(CPS1)が、肝細胞障害が起こる前、そして従来知られているバイオマーカーなどより早期に上昇することなどを見いだし、英文雑誌へ投稿した(Unuma K, et al. Hepatology Res. 2012;doi: 10.1111/j.1872-034X.2012.01084.x)。
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今後の研究の推進方策 |
最近、敗血症患者や敗血症モデル動物の各種臓器におけるオートファジーの証拠が示され、この病態における障害ミトコンドリア等を取り込んで分解する現象が明らかになった。本研究でもオートファジーが関与している可能性は大きく、敗血症病態で肝オートファジーの確認を行い、肝保護作用が知られているヘムオキシゲナーゼ1(HO1)を誘導し、肝臓でのクオリティコントロールへの寄与の検討を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養費35万、動物飼育費35万、試薬・阻害剤等購入費70万、学会発表の旅費10万、論文投稿原稿料・校閲費.その他50万を目標に、研究を遂行していきたい。
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