研究課題
背景:敗血症は極めて重篤な病態である。最近、敗血症患者や敗血症モデル動物の各種臓器におけるオートファジーの証拠が示され、この病態における傷害ミトコンドリア等を取り込んで分解する現象が明らかになったが、その分子機構の詳細は未解明である。また、早期診断に有用なバイオマーカーが乏しいことから診断が困難であることが少なくない。そこで今回我々は、細胞保護作用が知られているヘムオキシゲナーゼ1(HO1)を誘導し、肝臓でのミトコンドリア-リソソームクオリティコントロールへの寄与を検討した。さらに、敗血症の早期診断に有用なバイオマーカーを同定する目的でプロテオームを用いた解析を行った。方法:リポポリサッカライド(LPS)を腹腔内に投与することにより、敗血症状態を生起させた。HO1の誘導は、コバルトプロトポルフィリン(CoPP)を前投与して行った。肝障害の評価は血清マーカーにて、オートファジーやミトコンドリアバイオジェネシスの評価はタンパク解析、免疫染色、電子顕微鏡などを用いて評価した。バイオマーカーの検索はMALDI-TOF型質量分析計を用い同定した。結果:LPS投与によりミトコンドリア障害が起こり、オートファジーで処理される事が確認された。CoPP前投与によりLPSラットの肝機能低下や逸脱酵素上昇は改善傾向にあったが、オートファジー阻害剤の前投与はこの効果をキャンセルした。また、肝ミトコンドリアに局在するカルバモイルリン酸シンターゼ1(CPS 1)がLPS投与後早期から上昇する事が示された。考察:LPS投与によるミトコンドリア障害に引き続いてオートファジーとリソソームバイオジェネシスが起こり、正常な細胞に復帰しようとしていると考えられた。上記経路でCoPP前処理しておくと、酸化ストレスが軽減され、敗血症病態を緩和する可能性が示唆された。また、敗血症モデルラットにおいて、血中CPS 1が早期に上昇する事が明らかになった。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Hepatology Res.
巻: 43(5) ページ: 526-534
10.1111/j.1872-034X.2012.01084.x.
Hepatol Res.
巻: 43(1) ページ: 91-96
10.1111/j.1872-034X.2012.01049.x.
Brain Res.
巻: 1490 ページ: 9-22
10.1016/j.brainres.2012.10.056.
PLoS One.
巻: 8(1) ページ: -
10.1371/journal.pone.0055514.
Forensic Sci Med Pathol.
巻: 9(4) ページ: 554-7
10.1007/s12024-013-9453-3.
Cardiovasc Toxicol.
巻: 13(3) ページ: 267-77
10.1007/s12012-013-9206-2.
Toxicology.
巻: 311(3) ページ: 205-215
巻: 312(4) ページ: 74-82
10.1016/j.tox.2013.07.016.
巻: in press ページ: in press
10.1111/hepr.12183.
http://www.tmd.ac.jp/med/legm/gyouseki.html