研究課題
当該研究においては、骨代謝制御を司るおとり受容体(デコイレセプター)として知られるオステオプロテゲリンOPGに着目し、法医解剖例での解析から、OPGの心臓性突然死における役割を解析する。本研究計画では、平成23年度まで行ってきたOPG研究を継続させると共にそれを発展させ、法医解剖における心臓性突然死に重点を移しつつ、心血管系におけるOPGの役割を解析し、OPGに関する総合的かつ融合的な研究を遂行・発展させる。平成19年度まで遂行していた科学研究費補助金(平成17~平成19年度、若手研究(B)、ステロイドホルモンによるオステオプロテゲリン(OPG)遺伝子発現調節機構、課題番号 (17790266) 、研究代表者:近藤武史)による研究、及び平成23年度まで継続中の科学研究費補助金(平成20~平成23年度、若手研究(B)、骨形成・骨吸収に関与するおとり受容体の解析:前立腺癌とその骨転移における役割、課題番号 (20790283) 、研究代表者:近藤武史)による研究を更に発展させるために、平成26年度においては法医解剖症例において血清中のOPG蛋白をELISA法により解析するための準備を進めると同時に、心筋組織(ホルマリン固定パラフィン包埋)においてOPGの発現をみるための予備検討を行った。また、OPG発現の調節機構の解析の一環として共同研究していたsFRP遺伝子発現との関係についての研究成果が平成26年度にPLoS One誌に受理された。
4: 遅れている
当初の予定より、全般的に実験の条件設定等に遅れが生じている。また、死因別のサンプル収集も遅れている。
最終年度の平成27年度は、ELISAやWestern blotの条件設定等を急ぐと共に、虚血性心疾患、致死性不整脈、心筋症、心筋炎、血栓症などの死因に応じたサンプリングを順次進めていく予定である。また、冠状動脈および大動脈などの血管サンプルを用いて、平成26年度に検討した条件に基づき、組織学的にOPGの発現をみると共に、石灰化をふくむ動脈硬化病変との関連をみる。動脈硬化についてはスコア化など定量的な解析も行なう。臓器としては心筋および血管平滑筋を主な対象とするが、OPG蛋白発現はその他の臓器にも遍在することが知られているので、種々の臓器でも解析を進める。予備検討にて現在脾臓の血球細胞に高いOPG発現を認めている。蛋白レベルでは免疫組織化学を用いて、mRNAレベルではin situ hybridizationを用いて解析する。また、GFPとの融合タンパク質を発現させ、可視化することも検討していく。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e102797
10.1371/journal.pone.0102797
Virchows Arch
巻: 465 ページ: 253-6
10.1007/s00428-014-1612-8