研究課題
先天性QT延長症候群(LQTS)を原疾患とする心臓性突然死の実態を把握することを目的に当教室で解剖された、急性心機能不全と診断された症例23例についてKCNQ1遺伝子の変異解析を行った。また、心筋症(CM)症例および心肥大症例についても検討を行ったところ、各症例のみに検出された変異は14ヶ所、多型は20ヶ所であった。今回新たに検出された変異は急性心機能不全症例で1ヶ所、心肥大症例で3ヶ所、HCMで1ヶ所であった。急性心機能不全症例で検出されたg.132056A>G変異はp.Leu239のサイレント変異であり、p.Leu239はカリウムチャネルの細胞膜貫通領域であるS4に位置している。S4は電位センサーとして機能するとされており、今回検出されたp.Leu239=はサイレント変異であるが、チャネル機能に関与することにより致死性不整脈を引き起した可能性も考えられた。急性心機能不全症例で検出されたg.2869063G>Aはp.Gly621Serのアミノ酸変化を伴っておりRare controlとしての報告はあるものの、詳細は不明である。今回急性心機能不全症例1例のみに検出され、同症例は他に変異が認められなかったことからp.Gly621Serのアミノ酸変異が致死性不整脈の原因遺伝子の可能性が示唆された。検出された多型について有意差検定を行ったところ、5SNPsで各症例と対照との間で有意差が認められ、これら5 SNPsについてその組み合わせから16グループを作成し、対照例との間の有意差検定を行い、これら5 SNPsを用いた遺伝子診断の可能性について検討を行ったところ、急性心機能不全症例およびDCM症例において5 SNPs全てに変異を持つグループに対照との間で有意差が認められた( 急性心機能不全 vs. cont; P=0.002*、DCM vs cont; P=0.02*)。以上の結果よりg.222109C>Tとg.2869712G>Aの変異解析は急性心機能不全の死因究明および病態解明に有用であることが認められた。
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