研究概要 |
トリアゾラム、アルプラゾラムの尿中主要代謝物である、α-ヒドロキシトリアゾラム(HT)、α-ヒドロキシアルプラゾラム(HA)のグルクロン酸抱合体を合成した。 まず合成前駆体としてHT、HAがグラム単位で必要である。HT及びHAはそれぞれ相当する2-アミノベンゾフェノンから、4ステップで合成できた。 続いてグルクロン酸部分を導入するため、保護基を有するグルクロン酸のトリクロロアセトイミデートを合成した。グルクロノラクトンをメタノール中NaOMeで処理した後、ピリジン存在下塩化イソブチリルと反応させて1,2,3,4-テトラ-O-イソブチリル-β-D-グルクロン酸メチルを得た。さらに、トリブチルスズメトキシドを作用させて1位のイソブチリル基を脱離させた後、トリクロロアセトニトリルと反応させて2,3,4-トリ-O-イソブチリル-O-(トリクロロアセトイミドイル)-β-D-グルクロン酸メチル(1)合成した。1とHTもしくはHAをBF3OEt2存在下で反応させ、グルクロン酸部分をHT及びHAに導入した。 最後に保護基の脱離を試みた。アルカリ性条件下でイソプロピル基及びメチル基を脱離させた。生成物はSepPakC18で精製した。NMR及び質量分析の結果からほぼ純粋なものが得られていると考えられるものの、元素分析では不純物を含有している可能性が示唆された。現在、さらなる精製を試みている。 得られたグルクロン酸抱合体はLC/MSで分析した。グルクロン酸抱合体は非常に親水性が高いことが知られているが、HT及びHAのグルクロン酸抱合体は、一般的なC18の逆相カラムで保持することができ、通常のLC/MSシステムで分析可能であった。また、トリアゾラムもしくはアルプラゾラムを摂取したヒトの尿に、これらが含まれていることを確認した。
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