研究課題/領域番号 |
24790646
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山口 晃志 日本医科大学, 医学部, 助教 (90465344)
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キーワード | クアゼパム / 代謝物 / 腸肝循環 / 胆汁 |
研究概要 |
クアゼパムを服用した死者から得られた血液、尿、及び胆汁に含まれるクアゼパムとその代謝物の定量分析を行った。その結果、胆汁に3-ヒドロキシ-2-オキソクアゼパムが高濃度で蓄積されていることが分かった。さらに、胆汁にはクアゼパム由来の他の新規代謝物が高濃度に蓄積されていた。これらの代謝物は薬物を摂取した後に腸肝循環し、その結果長い間体内に留まっている可能性がある。これらの代謝物は、薬物を摂取して長時間経過した場合でも薬物使用を証明できる可能性がある他、薬物の連続使用を証明できる可能性があり、排泄、消失時間などの特徴を詳細に調査する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である薬物代謝物の標準品合成、分析法の開発、生体試料中の定量分析が順調に行えた。さらに、その結果から腸肝循環をする代謝物が長い間体内に留まる性質があるため、その性質を利用すればこれまで不可能であった様々なことを証明できる可能性があると考えられた。これは、法医中毒学において、薬物分析の新しい可能性を示唆するものである。
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今後の研究の推進方策 |
クアゼパムを服用したヒトの胆汁中には、新規代謝物が数種類含まれている可能性が示唆された。そこで、これらの構造を質量分析等の機器分析で推定した後、化学合成で別途合成する。合成品を標準物質として用いてヒトの資料中の代謝物を同定し、濃度を決定したい。さらに、それら代謝物の特徴(消失時間や排泄経路など)を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
分析に必要な液体クロマトグラフ用カラム等の購入に際し、劣化がそれほど進んでいなかったため、新しいカラムの購入が現時点で必要なかったこと、また、抽出で用いる固相抽出カートリッジが比較的安く購入できたこと等による。 代謝物の化学合成等に必要な試薬、分析のためのカラム等を購入する予定。次年度使用額がそれほど高額ではないため、研究計画に大きな変更はない。
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