研究実績の概要 |
ヒト剖検臓器の適切なMR組織学画像の撮像のために、固定臓器の緩和時間の測定実験を実施した。①検体処理:検体は、法医解剖で摘出した心筋、肝、脂肪、大脳の一部を個収集し、肉眼的・組織学的に病変がないことを確認した。検体は未固定群と固定群に分類した。未固定群の検体は、不活化液体を充満したチューブに挿入し、MR撮像した。一方、固定群検体は15-20% 中性緩衝ホルマリンにて室温下で固定し、未固定群と同様に撮像した。②緩和時間の測定:未固定群・固定群の検体は、以下の条件でMR撮像を実施した。MR装置:vertical-bore 8.6-Tesla Bruker AVANCE400WB imaging spectrometer with a 30 mm 1H coil、シーケンス:RAREVTR_bas,パラメータ:FOV = 2.0×2.0 cm (心筋、 肝、 脂肪組織), 4.0×4.0 cm (脳)、 スライス厚 = 2.0 mm、 number average = 1、 acquisition matrix = 128×128、 interslice distance = 4 mm、 TR = 500-10000 ms (心筋、 肝、 脳)、 360-5000 ms (脂肪組織)、 TE = 14-98 ms,Flip angle = 180.0 deg。1サンプルにつき取得した16枚のMR画像は、専用ソフトを用いて解析し、各検体のT1・T2値が計測した。③結果:脂肪組織を除き、T1値はホルマリン固定によっていずれも減少がみられた。T2値も同様の減少がみられ、脂肪組織では若干のT2値の上昇がみられたことが分かった。ただし、これらの結果は、方法上の信頼性に改善の余地があり、今後も検討を進める必要があると認める。
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