研究課題/領域番号 |
24790649
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
桑山 健次 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40356233)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 法医鑑定学 / 薬物鑑定学 |
研究概要 |
現存する最高レベルの検出感度を有する多種類の質量分析計(各薬物に応じて選択)を用いて、薬物摂取後の手指表面(指紋)上に分泌される極微量の薬物の検出を試みるとともに、同時に採取した体液(尿、血液、唾液、汗)中の薬物濃度との相関を調べることで、現時点で指紋からの薬物検出が法科学における薬物検査にどの程度応用できるか検証する。指紋からの薬物検出が可能となれば、指紋は尿や血液に代わる採取が容易な薬物検査のための生体試料になり得る。また、遺留指紋からの薬物検出は、個人の特定とともにその人物の指紋付着時の薬物使用を証明できるため、薬物関連犯罪の捜査から薬物鑑定まで幅広く応用できる。 本年度は、事件関係者から指紋を直接採取することを想定し、ヒトへの薬物投与後、薬物の種類・摂取量、摂取後経過時間の違いによる指紋中薬物検出の有無及び経時変化を検討した。コーヒー、タバコ、風邪薬を被験者に摂取してもらい、一定時間ごとに指紋、尿、血液、唾液、汗を採取し、各試料から抽出した薬物を様々な質量分析計で分析した。液体クロマトグラフ-質量分析計が、検討した全ての薬物の検出に適していた。コーヒー摂取後に採取した指紋中のカフェイン及びパラキサンチン、タバコ摂取後に採取した指紋中のニコチン及びコチニンの量は、摂取前と比べて有意に増加した。また、風邪薬を摂取して数日経過後に採取した指紋からも摂取薬物やその代謝物を検出できたことから、ヒトから直接採取した指紋からの薬物検出が可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的どおり、ヒトから直接採取した指紋からの薬物検出について検討できたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、様々な薬物を投与して、ヒトから直接採取した指紋からの薬物検出を検討するとともに、事件現場に遺留された指紋からの薬物検出を想定し、薬物の種類・摂取量、指紋付着物の材質、指紋検出法、転写シート等の組み合わせによる遺留指紋中薬物量の違いを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度購入できなかった薬物等の消耗品を購入するとともに、遺留指紋からの薬物検出を検討するための指紋採取器具等の消耗品を購入する。また、これまでの研究成果を公表するための学会参加費、旅費、論文投稿料等に使用する。
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