研究課題/領域番号 |
24790649
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
桑山 健次 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40356233)
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キーワード | 法医鑑定学 / 薬物鑑定学 / 質量分析 / 指紋 |
研究概要 |
現存する最高レベルの検出感度を有する多種類の質量分析計(各薬物に応じて選択)を用いて、薬物摂取後の手指表面(指紋)上に分泌される極微量の薬物の検出を試みるとともに、同時に採取した体液(尿、血液、唾液、汗)中の薬物濃度との相関を調べることで、現時点で指紋からの薬物検出が法科学における薬物検査にどの程度応用できるか検証する。指紋からの薬物検出が可能となれば、指紋は尿や血液に代わる採取が容易な薬物検査のための生体試料になり得る。また、遺留指紋からの薬物検出は、個人の特定とともにその人物の指紋付着時の薬物使用を証明できるため、薬物関連犯罪の捜査から薬物鑑定まで幅広く応用できる。 昨年度は、事件関係者から指紋を直接採取することを想定し、ヒトへの薬物投与後、薬物の種類・摂取量、摂取後経過時間の違いによる指紋中薬物検出の有無及び経時変化を検討した。風邪薬等を摂取して数日経過後に採取した指紋からも摂取薬物やその代謝物を検出できたことから、ヒトから直接採取した指紋からの薬物検出が可能であることが示された。 本年度は、事件現場で採取された遺留指紋からの薬物検出を想定し、様々な物体に指紋を付着させ、一般的な指紋採取方法により遺留指紋を転写したシートから効率的に薬物を抽出する方法を検討した。喫煙者の指をガラスやプラスチックに圧着させ、アルミニウム粉末でその指紋を顕在化した後、粘着シートにより指紋を採取した。そのシートを溶媒に浸して、抽出液を液体クロマトグラフ-質量分析計で分析するだけで、タバコ成分であるニコチン及び代謝物コチニンを検出できた。その量は非喫煙者の場合と比べて有意に大きかったことから、遺留指紋からの薬物検出の有用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的どおり、遺留指紋からの薬物検出について検討できたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、動物実験による皮膚分泌物からの薬物検出も計画していたが、これまでの研究結果から、ヒトを用いた実験の方が実用的で有益な情報が得られると考えられたため、引き続き、多種類の薬物をヒトに投与し、各生体試料からの薬物検出を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
欧米で開催される学会に参加予定であったが、日程の都合により参加できなかったため。 本年度購入できなかった薬物や薬物抽出用の器具等を購入する。また、これまでの研究成果を公表するための学会参加費、旅費、論文投稿料等に使用する。
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