研究課題/領域番号 |
24790653
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関口 敦 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (50547289)
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キーワード | 脳・神経 / 認知機能障害 / 乳がん / 内分泌療法 / 術後認知機能障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、乳がん治療に合併する認知機能障害の発症機序モデルの神経基盤を解明し、認知機能障害の適切な治療方法の開発を目指すことである。 東北大学腫瘍外科を新規受診する、閉経後の乳がん患者を対象として、手術前(ベースライン)、術後1週間以内、術後6か月の時点での認知機能検査(注意、記憶、作動記憶、実行機能、抑制能力、流動性知能)、心理指標(うつ、不安、気分、性格傾向、QOL)、脳形態・脳機能計測(MRIによるT1強調画像、拡散強調画像、安静時の脳活動)を行った。患者群は、乳がん治療の内容により、①手術+内分泌療法、②手術のみの2群を対象とし、更に健常対照群を加えた3群による検討を行っている。研究協力者である、東北大学腫瘍外科に所属する佐藤千穂大学院生が患者群のリクルートを精力的に行っており、対象となる患者群を網羅的に声掛けすることが出来ている。 平成25年度までに、41名の術前、術直後のデータ、30名の術後6か月のデータ収集が出来た。また、年齢、性別、学歴を統制した対照群20名に関して、6か月のデータ収集も完了している。 平成25年度は、患者群31名の術前後、20名の対照群の1週間の自然経過のデータセットを用いて、術後認知機能障害の神経基盤について検証したところ、患者群において注意機能の低下と右視床の灰白質体積の減少が認められ、アメリカ心身医学会にてポスター発表をしている。 認知リハビリテーション介入研究に関しては、任天堂DSで実施可能な『脳トレ』ソフトを利用した介入を計画しており、パイロット研究の準備を進めている。利益相反に関する審査が承認され、使用する『脳トレ』ソフトの選定のために、フィージビリティースタディの準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者である、東北大学腫瘍外科に所属する佐藤千穂大学院生が、患者のリクルート、6か月後のフォローアップ、健常対照群のリクルートなどを精力的に行っており、非常に効率的にデータ収集が出来ている。 更に、平成25年度より、患者群を手術+内分泌療法群、手術のみ群に絞ったことで、6か月後フォローの被験者を絞ることができ、効率的な実験遂行が出来るようになった。 認知リハビリテーション介入研究に関しては、研究協力者である、加齢医学研究所の川島隆太所長の利益相反審査も承認され、フィージビリティ研究が実施できる体制を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までにエントリーした乳がん患者群で、患者の新規登録は終了とし、これら患者群の術後6カ月までの追跡調査を終えた時点でデータ収集は完了とする。手術+内分泌療法群に関しては20名ほどの被験者数が集められたが、手術のみの群が10名に満たない見通しである。手術のみの群が少ない理由しては、患者群が大学病院受診者であることから、浸潤度の低い患者群の受診数が少ないことが背景にあると考えている。健常対照群に関しては、19名に関して6か月間の追跡調査が完了しており、対照群としては健常対照群が主なる解析対象になる見込みである。 認知リハビリテーション介入研究に関しては、任天堂DSを用いた『鬼トレ』または『脳トレ』を利用したフィージビリティ研究を行う計画である。患者群と同年代の被験者が実際にこれらトレーニングソフトを利用した介入の実現性について検討する予定である。
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