研究課題
本研究の目的は、乳がん治療に合併する認知機能障害の発症機序モデルの神経基盤を解明し、認知機能障害の適切な治療法の開発を目指すことである。東北大学腫瘍外科を新規受診する、閉経後の乳がん患者を対象として、手術前(ベースライン)、術後1週間以内、術後半年時点での認知機能検査(注意機能、記憶、実行機能、抑制能力、流動性知能など)、心理指標(うつ、不安、気分、性格傾向、QOLなど)、脳形態・機能計測(MRIによるT1強調画像、拡散強調画像、安静時脳活動)を行った。患者群は、乳がん治療の内容により、①手術+術後内分泌療法、②手術のみの2群を対象とし、更に③年齢と性別、学歴を統制した健常対照群を加えた3群による検討を行った。研究協力者である、東北大学腫瘍外科に所属する佐藤千穂が、被験者リクルートを担当し、平成24~25年度の2年間に新規外来受診した閉経後の乳がん患者への声掛けを行い、41名の患者群を募ることができた。また、対照群20名の撮像も並行して行った。平成26年度には、術後6カ月のデータ、対照群の6か月間の縦断データを収集し、最終的に①手術+術後内分泌療法群:13例、②手術のみ群:7例、③健常対照群:19名の、3点の縦断データを収集することに成功した。手術のみ群の例数が当初の想定より少なくなったが、脳領域を限定する解析手法を適用することで意義のある結果を得ることができ、国内外の学会、および査読付きの英文誌の出版と、成果発表を行うことができた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
PLoS ONE
巻: 10(11) ページ: e0140655
10.1371/journal.pone.0140655