研究課題/領域番号 |
24790655
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 淳子 (森屋 淳子) 東京大学, 医学部附属病院, 客員研究員 (00550435)
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キーワード | 摂食障害 / 治療中断(ドロップアウト) / アンケート調査 / インタビュー調査 / 地域医療連携 / 質的研究 |
研究概要 |
本研究は摂食障害治療におけるドロップアウトの低減を図るための治療システムを提案することを目的としている.本年度は,平成24年度に施行したカルテ調査,アンケート調査,インタビュー調査の結果解析を施行し,学会発表ならびに論文執筆を行った. カルテ調査においては,2009年1月~2012年7月に東京大学医学部附属病院心療内科の摂食障害初診外来を受診した342名を対象に,地域医療連携室(Medical Community Network; MCN)を介して予約した群(MCN+,n=128)と一般予約枠(MCN-,n=214)において,初診受診率,予約から初診までの日数,治療継続率,治療経過などの項目について二群比較を施行した.その結果,初診受診率はMCN+群において99.2%,MCN‐群では82.6%とMCN+群で有意に高かった (p < 0.001).予約から初診までの日数はMCN+群(8.4日)のほうがMCN‐群(35.5日)よりも有意に短かった(p < 0.001).また,MCN+群のほうがMCN‐群に比べて治療継続率が有意に高かった(p < 0.05).以上の結果より,治療機関へのMCNを介した治療システムは本来の治療システムと比較してED治療アウトカム向上に有用である可能性が示唆された. アンケート調査やインタビュー調査の解析結果においても,1.治療機関への地理的・経済的・時間的・精神的なaccessibilityを高めること,2.主治医との相性・信頼関係を構築すること,3.患者のニーズに合った医療を提供することが,治療からのドロップアウトを低減させるうえで大切であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.申請者の所属・職務内容が変わり,研究にさけるエフォートが減ったため. 2.妊娠・出産のため.
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査の結果解析を継続するとともに,1.治療機関への地理的・経済的・時間的・精神的なaccessibilityを高めること,2.主治医との相性・信頼関係を構築すること,3.患者のニーズに合った医療を提供することに対して,ドロップアウトを軽減させるための対策を具体的に立案する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
妊娠が判明したため,研究成果を発表する予定であった国際学会に参加できなかった. 研究成果を発表するための学会参加費・交通費・宿泊費に使用する.
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