潰瘍性大腸炎は難治性の慢性炎症疾患であり、その病態解明ならびに新規で有用な治療薬の創出が求められている。本研究では、漢方薬である大建中湯の急性大腸炎および大腸炎関連発がんに対する作用ついて検討を行った。 大建中湯は急性大腸炎の発生を抑制し、大腸組織における炎症性サイトカインの上昇を有意に抑制した。また大建中湯は腸管マクロファージにおけるTNF-αの発現を低下させた。さらに大建中湯は、大腸炎関連発がんモデルにおける腫瘍形成を有意に抑制した。本研究から、大建中湯は腸管マクロファージにおける炎症性サイトカインの産生阻害を介して大腸炎および炎症関連発がんを抑制することが示唆された。
|