研究課題/領域番号 |
24790658
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊奈 孝一郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60566983)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 高齢者の薬物療法 |
研究概要 |
高齢者には脳血管障害、虚血性心疾患予防目的で抗血小板剤(アスピリン、クロピドグレル)が広く処方されるが、加齢に伴い心房細動が増加し(80歳で約10%)、循環器学会ガイドラインにも推奨される抗凝固剤(ワーファリン)、また新規抗凝固剤(ダビガトラン等)の使用頻度が増加してきている。一方変形性脊椎症は罹患率が約20%に及び、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用も多い。高齢者は上記による消化管出血のリスクに加え、食道列孔ヘルニアの頻度も高く、これによる逆流性食道炎の予防目的でプロトンポンプ阻害剤(PPI)もよく用いられる。更に、骨粗鬆症は80歳女性の罹患率は骨粗鬆症学会診断基準では約50%に及び、ビタミンD、ビスフォスフォネートの使用頻度も多い。こういった薬剤の相互作用、副作用及び薬効の再検討を行い、性差医療の有用性、高齢者薬物療法の均てん化の可能性の有無を明らかにしていく。3年計画の初年度であり、老年内科外来通院者で基本的ADLが自立している高齢者及び施設入所中高齢者約200人のデータ収集を行っているところで、夏頃には終了予定である。24年度より一部解析も開始している。調査項目として24年度は1:罹患疾患、2:登録時投与薬剤、投薬量、期間、3:登録時血圧、空腹時血液脂質値、血糖値、HbA1C、肝腎機能、血圧等の基礎指標値,各種ホルモン血中濃度、4:登録時点での投薬の副作用、合併症の有無、5:ADL、6:各種薬剤の薬効評価の検討を開始した。即ちワーファリンであれば至適PT-INR時の投与量及びワーファリン量/INR値を薬効指標としての評価である。データ収集の継続及び解析により高齢者臨床に大きく貢献すると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老年内科外来通院者で基本的ADLが自立している高齢者及び施設入所中高齢者約200人のデータ収集は夏頃には終了予定で、24年度より解析も開始しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の調査対象は、老年内科外来通院者で基本的ADLが自立高齢者及び特別養護老人ホーム入居中の要介護度3度以上の虚弱高齢者約150名の解析を目標とする。後期高齢者に使用頻度の高い抗血小板剤、抗凝固剤(ワーファリン、ダビガトラン)、ジギタリス製剤、NSAID、PPI、ビタミンD、ビスフォスフォネートを解析対象とする。薬剤の相互作用及び薬効の再検討を行い、性差医療の有用性、高齢者薬物療法の均てん化の可能性の有無を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度調査対象は、老年内科外来通院者で基本的ADLが自立高齢者及び特別養護老人ホーム入居中の要介護度3度以上の虚弱高齢者約150名の解析を目標とする。後期高齢者に使用頻度の高い抗血小板剤、抗凝固剤(ワーファリン、ダビガトラン等)、ジギタリス製剤、NSAID、PPI、ビタミンD、ビスフォスフォネートを解析対象とする。SNPの検討をできる限り進める。また学会発表し、情報の収集も行う。
|