研究課題/領域番号 |
24790659
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田中 史生 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20623292)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 前向き探索的研究 |
研究概要 |
本研究対象者である、Rome-III診断基準を満たし身体化障害を有さない20~80歳の機能性ディスペプシア患者および健常者の症例を集積中である。集積可能であった症例にてアンケート調査(HADS・PHQ-15)を行い、抑うつ・不安症状、身体化障害の有無を評価した。適格症例に対しては上部消化管内視鏡検査と十二指腸組織の生検を施行し、グリア細胞のマーカーであるS100β、GFAP (Glial fibrillary acidic protein) mRNA発現量の測定を試みている。また定常状態および炎症性サイトカインによる刺激を加えた後での十二指腸組織中GDNF (Glial cell line-derived neurotrophic factor)発現量をELISA法にて測定している。本年度の研究によりELISA法によるGDNF測定系の確立に成功した。さらには蛍光染色法を用いS100β、GFAP、GDNF等の十二指腸組織での局在を検討している。現在登録症例数は機能性ディスペプシア患者5例である。機能性ディスペプシアの病態を修飾する因子を極力除外するために、Helicobacter pylori感染が無く、酸分泌抑制薬や消化管運動調整薬等の薬剤投与を受けていない機能性ディスペプシア患者を選択基準としていることが症例集積に難渋している一因として挙げられるが、機能性ディスペプシアの病態を正確に評価するためには必要な基準だと考えられる。今後さらなる症例集積に努め、引き続きデータ解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在登録症例数は機能性ディスペプシア患者5例であり、症例集積にやや難渋している。機能性ディスペプシアの病態を修飾する因子を極力除外するために、Helicobacter pylori感染が無く、酸分泌抑制薬や消化管運動調整薬等の薬剤投与を受けていない機能性ディスペプシア患者を選択基準としていることが症例集積に難渋している一因として挙げられるが、機能性ディスペプシアの病態を正確に評価するためには必要な基準だと考えられる。今後さらなる症例集積に努め、引き続きデータ解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
抑うつ・不安症状を有する機能性ディスペプシア患者における腸管グリア細胞の動態を明らかにするため、今後さらなる症例集積に努め、昨年度と同様にグリア細胞関連物質の測定を行う。具体的には十二指腸生検組織を用いて、グリア細胞のマーカーであるS100β、GFAP mRNA発現量をreal time RT-PCR法にて測定し、蛍光染色法を用いてグリア細胞の局在を検討する。またグリア細胞が産生する神経栄養因子であるGDNF発現量をELISA法にて測定する。さらには炎症に対する十二指腸グリア細胞の被刺激性の検討として、生検組織を培養し炎症性サイトカインであるIL-1βを添加することにより実験的炎症状態を作成、その後のGDNF発現量を検討する予定である。最終的に上記パラメータと腹部症状の強さとの相関性を解析し、機能性ディスペプシア患者における腹部症状の発生機序解明につながる因子を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究における研究経費の主要な用途は消耗品費である。内訳として実験試薬、実験器具、蛍光二重染色用の抗体、real time RT-PCR用のprimer・probe、ELISA kit等の購入に使用する予定である。
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