研究課題/領域番号 |
24790660
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田宮 久詩 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80464634)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 漢方 / アンチエイジング / 当帰飲子 |
研究概要 |
本研究は、皮膚角層をターゲットとした皮膚アンチエイジング剤としての漢方薬の作用を解明することを目的としている。具体的には、当帰飲子という漢方薬が、老齢マウス皮膚(40週齢、HR-1 hairless mouse, male)にアンチエイジング効果をもたらすのかということを明らかにするための研究を行っている。当該年度は、主に実験手技の確立、データの再現性をみる予備実験を行った。結果:1)皮膚機能計測;0,2,10%濃度当帰飲子含有餌にて4週間飼育後(36~40週齢まで)、各群において角質水分量(water containg of strat um corneum:WCSC)および皮膚バリア機能の変化について追試実験を行った。その結果、当帰飲子は用量依存的に、再現性を持って角質水分量を増加させたが、皮膚バリア機能には影響しないことが明らかになった。2) 皮膚角層形態観察;各濃度当帰飲子含有餌飼育後、各群における角層形態変化をコルネオサイトメトリー 法にて調べたところ、当帰飲子により用量依存的に、 角層細胞面積は減少し、多重剥離度も減少した。3)組織学的評価;各濃度当帰飲子含有餌飼育後、各群において背部皮膚のHE染色およびPCNA免疫染色を行ったところ、老化に伴う表皮非博化、PCNA陽性基底細胞数減少は、当帰飲子により用量依存的に抑制された。以上のことにより、当帰飲子は老化により低下した角層ターンオーバーを回復させ、皮膚保湿能を高めることを再現性をもって明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の計画目標として、当帰飲子による角層酸化ストレス度に変化について評価を行う予定であった。しかしデータのとりまとめ、評価の確認に予想以上に時間を有したので、角層酸化ストレス度計測に取りかかる事ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当帰飲子の皮膚アンチエイジング効果の作用機序解明のため、まず角層酸化ストレス度の変化を角層カタラーゼ活性を指標に調べる。また、当帰飲子が角層および表皮のターンオーバーを改善させた実験データを踏まえ、各種成長因子、表皮幹細胞マーカー、フィラグリンについて、RT-PCR法によるmRNAの遺伝子発現の変化、免疫組織染色によるそれらのタンパク発現変化について調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度執行予定の物品については、残試薬などで対応可能であったため、未使用金が生じた。しかし研究計画には変更無く、平成24年度の研究費も含め、当初通り下記の通り執行する。 実験動物、試薬購入に約80万円、学会参加旅費に約20万円の直接経費を見込んでいる。内訳は、実験動物:HR-1へアレスマウス 雄 2千円×計100匹(SLC)=20万円、実験飼料:実験試料当帰飲子含有試料(ツムラ)20万円、実験試薬:epidermal growth factorリアルタイムPCR プライマーセット 10万円、各種免疫染色用抗体 30万円、学会参加費:計20万円 日本皮膚科学会総会(2013年 横浜)、日本抗加齢医学学会総会(2013年 横浜)
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