研究課題
106匹の雄性成熟Wistarラット(10週令)のうつ様行動を強制水泳試験により解析したところ、うつ様行動の指標である不動時間が正規分布し、また水泳速度と不動時間の相関関係が認められなかったため、本研究で用いた動物におけるうつ様行動量は正規分布しており、運動機能の変化によるものではないことを認めた。このため、この母集団より、うつ様行動を示す群と平均的な群を抽出し小脳および前頭前野にて網羅的な遺伝子発現解析を行った。うつ様行動を示す動物の各脳部位において100から200程度の遺伝子の発現が認められた。これらの遺伝子群をIngenuity Pathway Analysisというパスウェイ解析アプリケーションを用いて統計学的に関連性が高い生物学的な機能や既知のシグナルパスウェイの探索を行ったところ成長ホルモン遺伝子を中心とした遺伝子発現変化が起きていることを認め、これら脳部位に共通して成長ホルモン遺伝子の発現減少を中心とした遺伝子ネットワークを初めて見出した。本研究では当初うつ様行動に関連するニューロステロイドを探索するというコンセプトで研究を開始したが、結果的にはうつ様行動との関連性が認められたニューロペプチドを見出すことに成功し、うつ様行動を制御する新たな脳部位に小脳および前頭前野がなる可能性を本研究で明らかにすることに成功した。H27年度は本研究の成果をPhysiological Genomicsに発表した。この論文はEditors Pickに選出された。
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Physiological Genomics
巻: 47 ページ: 170-176
10.1152/physiolgenomics.00119.2014
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0137291
10.1371/journal.pone.0137291