研究課題/領域番号 |
24790664
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
風間 智彦 日本大学, 医学部, 研究員 (80525668)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | DFAT / 脱分化 / 骨髄中間葉系幹細胞 / 骨粗鬆症 / 再生不良性貧血 |
研究概要 |
本研究では、骨粗鬆症や再生不良性貧血患者から調製したBM-DFATにおける骨芽細胞や造血ニッチ細胞としての機能を解析する。骨粗鬆症に伴う大腿骨頚部骨折に対する人工関節置換術を行なう患者から廃棄予定の骨組織の提供を受け、骨髄液から成熟脂肪細胞とストローマ細胞を分離し、それぞれBM-DFATとBM-MSCを調製した。調製されたBM-DFATとBM-MSCを骨分化誘導培地で3週間培養し、1週間毎に骨分化能を評価した。骨関連遺伝子発現の解析遺伝子は、RUNX2、アルカリフォスファターゼ(ALP)、オステリックス(Osx)そしてオステオカルシン(OC)のmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法にて評価したところ、BM-MSCと同程度の骨関連遺伝子がBM-DFATにも発現しており、骨分化誘導とともに発現量が増加した。また、骨細胞分化の指標である酵素活性であるALP活性は、BM-DFATでは骨分化誘導前から高く、骨分化誘導とともに活性が高まった。さらに、カルシウムの沈着を検出するためにアリザリンレッドS染色を行なったところ、誘導2週間後のBM-DFATにおいてカルシウム沈着が認められた。また、再生不良性貧血患者の骨髄検査時に採取される骨髄液の一部より、成熟脂肪細胞とストローマ細胞を分離し、それぞれBM-DFATとBM-MSCを調製した。BM-DFATならびにBM-MSCにおける、Jagged-1、 Ang-1、N-カドヘリンならびにSDF-1のmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法を用いて測定した結果、BM-MSCと比較してBM-DFATにおいて有意にSDF-1の発現が高かった。同様に、SDF-1の蛋白濃度をELISA法で測定を行なった結果、遺伝子発現の結果と同様に、BM-MSCと比較してBM-DFATにおいて発現が有意に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、平成24年度に実施する予定であったBM-DFATのヒト臍帯血CD34+細胞との共培養システムを用いた造血幹細胞増殖・維持能の解析に用いる再生不良性貧血患者より調製したBM-DFATならびにBM-MSCの必要検体数を年度内に揃えることができず、次年度に検討することになってしまったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、BM-DFATのヒト臍帯血CD34+細胞との共培養システムを用いた造血幹細胞増殖・維持能の解析を行なう。また、大腿骨骨折モデルマウスに対するBM-DFAT移植の効果を検討するために、NOD/SCIDマウスの右後肢大腿骨に横骨折を作製し、骨粗鬆症患者より調製したBM-DFATならびにBM-MSC(1×105個)をPura Matrixペプチドハイドロゲル(50 μl)と混合し骨折部に移植したものをBM-DFAT群ならびにBM-MSC群とし、左後肢は、大腿骨横骨折を作製し、Pura Matrixペプチドハイドロゲル(50 μl)のみを骨折部に注入し、対照群とし、細胞移植2、4ならびに6週間後において、骨折部を中心に4×4×4㎜の領域における骨量、骨密度を動物用マイクロCTにて計測し、反対側の対照群と比較し、骨形成能の比較解析を行なう。また、ヒト臍帯血造血幹細胞移植モデルマウスに対するBM-DFAT同時移植の効果を検討するため、NOD/SCIDマウスに放射線照射(3 Gy)を行ないヒト臍帯血造血幹細胞移植モデルマウスを作製し、7~24時間後にヒト臍帯血CD34+細胞単独、もしくはヒト臍帯血CD34+細胞とBM-DFATを尾静脈より投与する。移植4、12週後に尾静脈より末梢血を採取し、ヒトCD45+細胞の割合をフローサイトメーターを用いて計測する。また、12週後にマウスを屠殺後、大腿骨および脛骨を摘出し、骨髄細胞を採取し、マウス骨髄中のヒトCD45+細胞の割合、および造血幹細胞分画、B細胞分画、単球・マクロファージ分画、ミエロイド細胞分画、巨核球分画の割合をフローサイトメトリーで測定し、両群間の比較を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、細胞培養関連試薬、細胞培養器具、生化学実験関連試薬、造血幹細胞分離抗体、造血幹細胞分離関連試薬そしてFACS解析用抗体が必要となってくる。また、大腿骨骨折モデルマウスやヒト臍帯血造血幹細胞移植モデルマウスを用いた解析を実施するため、NOD/SCIDマウスを購入する予定である。
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