研究課題
東京都港区六本木に位置する循環器専門病院である心臓血管研究所付属病院に2004年度以降来院した初診患者を全登録した前向きコホートデータベースである「心研データベース」を構築し、心房細動患者における脳梗塞発症および抗凝固療法の現状について報告した。(1)抗凝固薬を投与されていない心房細動患者(n=1099)における脳梗塞イベント(脳梗塞による入院または死亡)発生率は、CHADS2スコア0点では1000人年あたり3.5(95%信頼区間1.2-10.4)、CHADS2スコア1点では1000人年あたり10.1(95%信頼区間4.3-23.7)、CHADS2スコア2点以上では1000人年あたり24.1(95%信頼区間12.2-47.7)であった。脳梗塞イベント発生に対する独立危険因子として、年齢75歳以上、脳梗塞TIA既往、高血圧が同定された。(Suzuki S, et al. Circ J 2015;79:432-438.)(2)一年以上の安定した通院患者を対象に抗凝固薬処方率の変遷をみると、2004-2006年度(n=610)は33.4%であったのに対して、2007-2009年度(n=652)は42.3%、2010-2012年度(n=572)は68.0%と大幅な増加が認められた。とくに2010-2012年度における増加が顕著であるのは、2011年度に登場した新規経口抗凝固薬の寄与が高いと考えられた。(Suzuki S, et al. JCS2015, in Osaka)(3)抗凝固薬投与下の心房細動患者(n=1375)において、34人に入院を要する出血イベントが発生した(0.81 %/年)。出血イベントに対する独立危険因子として、年齢65歳以上、難治性高血圧、弁膜症、心筋症が同定された。また、出血イベントを発生した患者のうち、経過観察中に33.9%が死亡した。出血イベント発生が死亡に対して及ぼすリスクを、時間依存性Cox回帰分析による多変量モデルで解析すると、ハザード比 2.05(95%信頼区間0.97-4.32)であった。(Suzuki S, et al. JCS2015, in Osaka)
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Circulation Journal
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