腸管組織におけるオートファジーの機能および腸管炎症の病態を解明する目的で現在実験を行っている。したがって細胞株レベルでのオートファジー発現、およびマウスレベルでのオートファジーの発現に関して検討を遂行している。 細胞株レベルでは、炎症性サイトカインの投与のよりオートファジーの誘導が確認されており、再現性の確認をするとともに、現在も発現に関するタイムコースやサイトカイン投与量の検討の実験を継続している。また今後は、様々な抗炎症物質の投与におけるオートファジーの発現系に関して検討していく予定であり、抗炎症物質として考えている納豆菌から抽出した物質であるCSFを作成し準備できている。そのほか、インターロイキン10の投与や腸内細菌から抽出される腸管保護物質に関する検討も進めており、複数の物質での検討が可能なよう実験系を確立している。 マウスレベルの検討では、ワイルドタイプのマウスにDSSを内服させ実験腸炎モデルを作成し、腸管におけるオートファジーの発現について検討を行った。プラセボ群に比較して有意にオートファジーが誘導されていることを確認している。また機能的な解析にオートファジーノックアウトマウスが必須と考え、ATG7遺伝子ノックアウトマウスとVillin-Creマウスを掛け合わせ腸管においてのみオートファジーが抑制されているモデルの作成を行っている。本マウスが確立されれば、DDS腸炎モデルなどの実験腸炎モデルに使用することにより腸管炎症とオートファジーの関連性に関して大きな発見が期待できる。
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