• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

シクロスポリンによる制御性T細胞を介したTGF-βの発現調節

研究課題

研究課題/領域番号 24790673
研究機関弘前大学

研究代表者

櫻庭 裕丈  弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90422063)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードシクロスポリン / TGF-β / 腸上皮アポトーシス
研究概要

マウスDSS誘発大腸炎を用いて、シクロスポリン投与により腸管粘膜局所でのTGF-βシグナルの発現を高めることにより腸上皮細胞アポトーシスを介した粘膜障害の抑制効果を報告し(Am J Physiol,2009;297)、さらに詳細機序の解析を進めている。
実験腸炎モデルを用いたin vivoでの解析では、シクロスポリンによる腸管局所のTGF-βシグナルの発現増強と腸上皮アポトーシス抑制効果は、T, B細胞が欠損したSCIDマウスにおいては認めない。一方、CD4+CD25+制御性T細胞を移入したSCIDマウスでは、シクロスポリンによる腸管局所のTGF-βシグナルの発現増強と腸上皮アポトーシス抑制効果を認め、さらにその効果はTGF-βの中和抗体で消失した。
次にin vitroの解析で、マウス脾臓よりautoMACSにより分離したCD4+CD25+制御性T細胞をシクロスポリン刺激下で培養、TGF-βシグナルについてmRNAの発現解析をreal time PCRで行ったが、発現増強は認めなかった。従ってシクロスポリンによるTGF-βシグナルの発現増強を介した粘膜障害抑制効果は、CD4+CD25+制御性T細胞の存在が不可欠であるが、直接の発現増強効果ではないことが示唆された。
介在する要素として、マクロファージへの効果、あるいは他のサイトカイン(IL-22, IL-18, IL-12, IL-23など)が考えられ、腸管局所のRNAのマイクロアレイによる発現解析の結果、IL-22の関与が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

in vitroの解析でシクロスポリンによるTGF-βシグナルの発現増強を介した粘膜障害抑制効果は、CD4+CD25+制御性T細胞の存在が不可欠であるが、直接の発現増強効果ではないことが示唆された。また、腸管局所のRNA発現についてのマイクロアレイの解析でシクロスポリンによるIL-22の発現増強と腸管上皮のSTAT3活性化を介した腸上皮細胞アポトーシス制御の効果が示唆された。この2つの結果から、シクロスポリンの粘膜障害抑制効果の機序について、in vivoでの解析をさらに多方面から行う必要があると考えられ、IL-22の中和抗体、STAT3阻害剤、抗Mac-1抗体など用いて関連する因子、細胞の特定を行い、その上で特定の細胞あるはサイトカインに対する効果をin vitroの系で解析する必要があると考えられた。
DSS腸炎モデルでのIL-22の中和抗体、STAT3阻害剤投与下でのシクロスポリンの効果を改めて解析中で、IL-22の中和抗体、STAT3阻害剤投与下では粘膜障害の抑制効果が減弱するという結果が得られ、さらに再現性の確認を行っているためやや進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

in vivoの解析でシクロスポリンによるTGF-βシグナルの発現増強を介した粘膜障害抑制効果は、CD4+CD25+制御性T細胞の存在が不可欠であることを、さらに抗IL-2抗体投与下でのシクロスポリンによる効果の解析で再確認を行う。マクロファージへの効果はMac-1抗体で細胞除去したマウスでシクロスポリンのTGF-βシグナルの発現増強効果の有無について解析する。
シクロスポリンによる腸上皮細胞アポトーシスの制御機序解析については、TGF-β-IL-22-STAT3シグナルの経路の解析が必要となる。in vivoの解析では、DSS腸炎を用いてIL-22の中和抗体、STAT3阻害剤投与下でのシクロスポリンによる粘膜障害抑制効果、腸上皮アポトーシス抑制効果、FLIP・caspaseなどのアポトーシス制御因子の発現についての解析を進める。in vitroの解析では、Caco2あるいはHT-29細胞へサイトカインカクテルでアポトーシスを誘導。それに対するシクロスポリン、TGF-β、IL-22、STAT3阻害剤の効果を解析する予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Cyclosporine protects from apoptosis-mediated epithelial damage through epithelial STAT3 signaling pathway.2013

    • 著者名/発表者名
      櫻庭 裕丈
    • 学会等名
      The 1st Anuual Meeting of Asian Organization for Crohn's & Colitis
    • 発表場所
      Hotel Laforet Tokyo, Japan
    • 年月日
      20130613-20130614

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi