シクロスポリンによる腸管粘膜障害抑制効果の発現機序を、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎モデルを用いて解析。SCIDマウスに野生型マウスの脾臓より分離した制御性T細胞を移入後に腸炎を誘発。シクロスポリン投与により腸炎抑制効果を認め、腸管局所でのTGF-βの発現増強と腸上皮アポトーシス増加抑制効果を認めた。また、抗TGF-β抗体投与によりその効果は相殺された。分離した制御性T細胞をシクロスポリンで刺激培養してもTGF-βの発現増強は認めなかった。従ってシクロスポリンによるTGF-β発現調節を介した腸管粘膜障害抑制効果には制御性T細胞の存在が不可欠であるが、直接作用ではないことが明らかとなった。
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