研究実績の概要 |
疾患の病因・病態に影響を与える因子としてgenetic factor以外に、eigenetic factor(DNA methylation, histone acetylation, mi-RNA etc)が注目を集めている。特にクローン病(CD)感受性遺伝子の中に、DNA メチル基転移酵素(DNMT3A)(Nature genetics 2010. 42:1118-25)が含まれており、CDの発症にDNAメチル化異常が関連していることが推測されている。epigenetic(主にDNA methylation)な変化が、遺伝子発現に影響を与えることで、病因・病態に関与しないかどうか検討を行った.活動期CD 13例、活動期潰瘍性大腸炎(UC) 5例の手術標本を用いて、CD4+ Effector Memory T細胞 (Tem) を分離した。Illumina 450Kを使用してCDとUCのTemの網羅的DNAメチル化比較解析を行った。また、CDとUCのTemにおけるアポトーシス感受性の差異とDNA メチル化との関連を検討するために、脱メチル化剤 (5-AZA) による脱メチル化誘導がTemのアポトーシス感受性にどのように影響を与えるかについて検討した。 その結果、①CDとUCのTemにおけるDNAメチル化の差異について明らかにし、②その差異を示した遺伝子リストをもとに、特徴的なbiological processやpathwayを抽出した。 さらに、③抽出されたbiological processのひとつであるアポトーシス関連遺伝子群のDNAメチル化とアポトーシス感受性との関連を示し、④DNAメチル化で制御され、かつCDのアポトーシス抵抗性を規定する可能性のある25の候補遺伝子を抽出した。以上の4点を本研究により明らかにした。
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