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2012 年度 実施状況報告書

C型肝炎ウイルス感染による肝発癌メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790678
研究機関千葉大学

研究代表者

中本 晋吾  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90586596)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード肝発癌
研究概要

C型肝炎ウイルス(HCV)感染においてはウイルスの持続感染、加齢や宿主の遺伝子要因、外部ストレスなどの環境要因が複雑に絡んで肝発癌へ至ると考えられる。HCVによる発癌の分子メカニズムを解明するためH24年度は以下の検討を行った。(1) 臨床検体肝組織におけるSIRT経路遺伝子の発現解析。肝癌および非癌組織におけるSIRT遺伝子のmRNA発現をReal-time PCR法にて検討し、肝病態、臨床背景との関連性を検討した。肝癌部において発現量は検体間で多様であったが、SIRT1,2低下例が多くみられた。一方年齢、性別による明らかな発現量の差は認められなかった。SIRT遺伝子のタンパク発現を免疫染色にて確認した。肝癌組織では非癌組織と比べてSIRT2の発現が低下している傾向を認めた。また他のホモログでも発現変化を認めた。一方性別や年齢、B型肝炎ウイルス(HBV)の有無は発現量に影響しなかった。(2) 培養細胞株を用いた検討。in vitroにおいてHCVレプリコン発現肝癌細胞株を用いた検討を行った。SIRT遺伝子の活性化、抑制はウイルス複製に影響を与えなかった。SIRT遺伝子のウイルス複製に与える影響についてさらにHBV産生細胞株および一過性発現系を用いて検討したところ、SIRT遺伝子はHBV複製に影響しなかった。一方HCVレプリコンはベータガラクトシダーゼ活性測定法によるセネセントセル存在量に影響した。SIRTのヒストン脱アセチル化活性の影響について検討するため他のクラスのHDACについて検討を行った。クラスI,II阻害剤を用いた検討ではHBV複製肝癌細胞株におけるウイルス複製量に影響した。現在詳細な検討をすすめている。
H24年度の検討においてSIRT遺伝子が肝発癌と関連することが示唆されたものの、ウイルス感染や老化との関連など詳細なメカニズムについてさらなる検討を要する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

おおむね計画内容は遂行されているが、計画の一部に遅れが生じた。不死化細胞を用いたウイルス感染系を作成する計画であったが現在のところ細胞へのウイルス感染性が得られておらず、細胞にウイルス吸着、侵入に関与する因子が不足している可能性がある。またSIRT関連遺伝子の持続的ノックダウン細胞株を作成する計画について遺伝子の安定的な発現低下が得られていない。一方臨床検体を用いた検討については当初予定より多数例での検討が可能となった。

今後の研究の推進方策

次年度ではSIRT遺伝子がウイルスタンパク発現や感染性に与える影響、さらに腫瘍形成能について検討を行い、また詳細な遺伝子シグナルパスウェイについて解析していく予定である。また加齢や肝硬変からの発癌メカニズムと関連して、細胞老化による影響を解析し、治療標的となりうる因子の同定を目指す。計画に遅れが生じた部分については、in vitro実験系では使用する細胞株の変更や使用するウイルスやレプリコンの変更、遺伝子活性化、抑制剤の変更などにより対応していく。

次年度の研究費の使用計画

H24年度計画の一部に変更が生じたため当初予定していた細胞購入、抗体購入等を行わなかったため未使用額が生じた。これらはH25年度に購入を計画している。さらにHCV感染細胞株におけるSIRT関連遺伝子の機能解析、HCV感染による不死化肝細胞の形質へ与える影響の解析、HCVコア発現マウスを用いたin vivoでのSIRTの機能解析、肝組織臨床検体を用いたHCV感染や発癌とSIRTとの関連解析を行う。
培養細胞実験にかかる費用、抗体など各種試薬、薬剤、消耗品、実験動物使用にかかる費用などを予定している。研究内容に要する設備備品はそろっており、新たな購入計画はない。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Peginterferon Alfa-2a plus ribavirin in Japanese patients infected with hepatitis C virus genotype 2 who failed previous interferon therapy.2013

    • 著者名/発表者名
      Kanda T, Nakamoto S, Nishino T, Takada N, Tsubota A, Kato K, Miyamura T, Maruoka D, Wu S, Tanaka T, Arai M, Mikami S, Fujiwara K, Imazeki F, Yokosuka O.
    • 雑誌名

      Int J Med Sci.

      巻: 10 ページ: 43-9

    • DOI

      10.7150/ijms.5358.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interleukin-29 suppresses hepatitis A and C viral internal ribosomal entry site-mediated translation.2012

    • 著者名/発表者名
      Kanda T, Wu S, Kiyohara T, Nakamoto S, Jiang X, Miyamura T, Imazeki F, Ishii K, Wakita T, Yokosuka O.
    • 雑誌名

      Viral Immunol.

      巻: 25 ページ: 379-86

    • DOI

      10.1089/vim.2012.0021.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Knockdown of receptor-interacting serine/threonine protein kinase-2 (RIPK2) affects EMT-associated gene expression in human hepatoma cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Wu S, Kanda T, Nakamoto S, Imazeki F, Yokosuka O.
    • 雑誌名

      Anticancer Res.

      巻: 32 ページ: 3775-83

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hepatitis B virus e antigen physically associates with receptor-interacting serine/threonine protein kinase 2 and regulates IL-6 gene expression.2012

    • 著者名/発表者名
      Wu S, Kanda T, Imazeki F, Nakamoto S, Tanaka T, Arai M, Roger T, Shirasawa H, Nomura F, Yokosuka O.
    • 雑誌名

      J Infect Dis.

      巻: 206 ページ: 415-20

    • DOI

      10.1093/infdis/jis363.

    • 査読あり
  • [学会発表] Shingo Nakamoto, Tatsuo Kanda, Shuang Wu, Xia Jiang, Tatsuo Miyamura, Makoto Arai, Keiichi Fujiwara, Kengo Saito, Fumio Imazeki, Hiroshi Shirasawa, Osamu Yokosuka2012

    • 著者名/発表者名
      The association between DEPDC5 polymorphism and the development of hepatocellular carcinoma in patients with chronic hepatitis C
    • 学会等名
      The Liver Meeting 2012
    • 発表場所
      Boston, MA, USA
    • 年月日
      20121111-20121111
  • [学会発表] C型慢性肝炎G1型におけるIFN著効後肝発癌についての検討2012

    • 著者名/発表者名
      中本晋吾、今関文夫、神田達郎、呉霜、姜霞、宮村達雄、新井誠人、藤原慶一、齋藤謙悟、白澤浩、横須賀收
    • 学会等名
      第16回日本肝臓学会大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      20121011-20121011
  • [学会発表] HCV G1症例におけるウイルス特異的阻害剤耐性変異に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      中本晋吾、呉霜、神田達郎、姜霞、宮村達雄、新井誠人、藤原慶一、今関文夫、齋藤謙悟、白澤浩、横須賀收
    • 学会等名
      第16回日本肝臓学会大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      20121010-20121010
  • [学会発表] C型慢性肝疾患の肝発癌予測における遺伝子多型の有用性に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      中本晋吾、今関文夫、神田達郎、呉霜、宮村達雄、太和田暁之、新井誠人、藤原慶一、齋藤謙悟、白澤浩、横須賀收
    • 学会等名
      第48回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      20120608-20120608
  • [学会発表] ASSOCIATION BETWEEN MICA POLYMORPHISM AND THE DEVELOPMENT OF HEPATOCELLULAR CARCINOMA IN PATIENTS WITH CHRONIC HEPATITIS C2012

    • 著者名/発表者名
      S. Nakamoto, F. Imazeki, T. Kanda, S. Wu, T. Miyamura, A. Tawada, M. Arai, K. Fujiwara, K. Saito, H. Shirasawa, O. Yokosuka
    • 学会等名
      47th annual meeting of the European Association for the Study of the Liver
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      20120420-20120420

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公開日: 2014-07-24  

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