研究課題/領域番号 |
24790683
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泉谷 昌志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90532739)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 機能スクリーニング / 膵癌 |
研究概要 |
本研究は、代表的な難治性固形癌である膵癌(膵管上皮癌)の新しい治療戦略を提供するために、遺伝子発現には依らずに形質関連遺伝子を同定する方法である機能スクリーニング系と機能解析を用い、膵癌の新規治療薬の開発候補となりうる新しい治療標的群を明らかにすることを目的とするものである。本年度は、機能スクリーニングに使用するカスタムマイクロアレイの作成、免疫不全マウスを用いたin vivo機能スクリーニングを実施した。すなわち、約600種類のマイクロRNA前駆体発現レンチウイルスライブラリーの各クローンを検出するために、これらの発現するマイクロRNA前駆体(400~500bp)のstem-loop以外のゲノム配列(sense, anti-senseの双方)に特異的なプローブ合計約1,200の設計を、eArrayソフトウェア(Agilent)を用いて行った。免疫不全マウスについては、ヒト細胞の生着率が高いとされるNOGマウス(実験動物中央研究所)を用い、皮下移植ならびに膵臓への同所移植に供した。後者に関しては、マウスをトリブロモエタノール・イソアミルアルコールの腹腔内注射にて麻酔後、剃毛・脾門部近傍にて皮膚を小切開、膵尾部を露出させ、27G針にてウイルスライブラリー導入細胞/マトリゲル等量混合物を膵被膜化に局所注射、速やかに刺入部をシアノアクリレート液にて固着、創部を縫合した。2週間後にマウスを回収し、移植腫瘍を回収、DNAを抽出した。これら、2週間飼育された免疫不全マウス移植腫瘍中(皮下、膵同所移植)のクローンと、導入直後におけるクローンの変化について、2色法のカスタムマイクロアレイを用いて反定量的に解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的として、(1)機能スクリーニング系を用いた膵癌増殖制御因子の探索、(2)癌増殖制御因子の作用機序解明、(3)マイクロアレイを用いた膵癌遺伝子発現変化のパスウェイ解析、を挙げ、本年度に関しては(1)の達成を計画していた。(1)に関しては、機能スクリーニング系の構築、マウス in vivo 機能スクリーニングに関して達成され、その詳細な結果については解析中であることから、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
In vivo 機能スクリーニングにて同定される、膵癌増殖を制御する可能性がある因子に関して、その機能解析を行う。すなわち、これらの因子を膵癌細胞株へ導入し、それによる遺伝子発現の変動をマイクロアレイを用いて網羅的に解析する。また、癌関連マイクロRNAの標的分子の生化学的な同定をこころみる。即ち、AGO2免疫沈降により、これらマイクロRNAが直接結合している標的分子を探索する。また、膵発癌モデル動物を用いて、これら膵癌増殖制御因子の腫瘍抑制効果を検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記、今後の研究の推進方策に沿って、実験に必要な消耗品費、成果発表の旅費に用いる。
|