研究課題/領域番号 |
24790686
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上田 晃之 金沢大学, 医学系, 研究員 (80600741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 肝癌 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本邦における肝細胞癌は慢性肝疾患、特に線維化の進行した肝硬変を発症母地として発症することが大多数であり、約90%はウイルス性慢性肝炎である。原因ウイルスはB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)であるが、いずれも慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌を引き起こす。cDNAマイクロアレイを用いた包括的遺伝子発現解析を行うと、両肝炎および両肝炎により惹起された癌組織での細胞内情報伝達機構が異なることが明らかとなった。応募者はこれまでに慢性肝炎および肝細胞癌における網羅的遺伝子発現解析を行い、これらの遺伝子発現情報を有機的に結び付けるアルゴリズムを用いて、慢性肝炎から肝細胞癌発症にかかわる遺伝子群のネットワーク解析を行ってきた。応募者はこの検討によりB型慢性肝炎およびC型慢性肝炎における発癌に関与する遺伝子群ならびにネットワークを推定してきた。今回応募者はこの実験結果を踏まえ、新規肝癌発症症例の背景肝(非癌部)における先の発癌に寄与する遺伝子群の発現変化を検証する。この点についてはリアルタイムPCRの結果を踏まえ、Genomics. 2013 Apr;101(4):238-48にGene expression profiling of hepatitis B- and hepatitis C-related hepatocellular carcinoma using graphical Gaussian modeling.と題し掲載された。また、発癌時に寄与する遺伝子群と関連するnon-cording RNAの一種であるmicroRNA(miRNA)を特定については現在検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規肝癌発症症例の背景肝(非癌部)における先の発癌に寄与する遺伝子群の発現変化を検証する。この点についてはリアルタイムPCRの結果を踏まえ、Genomics. 2013 Apr;101(4):238-48にGene expression profiling of hepatitis B- and hepatitis C-related hepatocellular carcinoma using graphical Gaussian modeling.と題し掲載された。また、発癌時に寄与する遺伝子群と関連するnon-cording RNAの一種であるmicroRNA(miRNA)を特定については現在検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロRNA同定については症例をさらに積み重ねを行う。すなわち、肝細胞癌初発症例の背景肝からRNAを抽出し、miRNA-TaqManアレイ(TaqMan Human MicroRNA Array v2.0)を用いて、miRNAの発現を網羅的に解析する。上記遺伝子と関連するmiRNAを同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の実施計画としては肝細胞癌新規症例の初発治療時に採取した背景肝組織(手術もしくは肝生検サンプル)よりRNAを抽出し、抽出したRNAを用いてcDNAを作成した上でのreal-time PCRで検証ならびにmiRNA発現の網羅的解析を実施するものであった。症例の獲得状況に応じ、平成25年度にもこれらの研究継続を実施し、研究費を請求する予定である。また、当初計画どおり、平成25年度には肝細胞癌新規症例の背景肝におけるmiRNA発現と、cDNAマイクロアレイの解析にて肝発癌に関連する遺伝子発現変化との関連を明らかにする。また肝発癌を調節するmiRNAを背景肝組織の検討により明らかにすることを目的とし、研究費を使用していく予定である。
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