研究課題/領域番号 |
24790689
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
舩坂 好平 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70599034)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | GIST |
研究概要 |
消化管間葉系腫瘍GISTの病態、予後にかかわる分子メカニズムはいまだ十分解明されていない。GIST形成に関与する亢進シグナルや新規遺伝子を同定し、GISTの病態、悪性化の解明を行うことを目的として研究を遂行している。 GIST臨床検体においてkit変異および発現解析を行い、臨床データの収集を行っている。 基礎実験としてはc-kit変異もしくは野生型遺伝子を細胞株293Tに強制発現させたところ、変異型c-Kitを発現した細胞は野生型に比べ足場非依存的増殖が顕著に亢進することを確認できたが、細胞増殖能は野生株、変異型で違いを認めなかった。シグナル伝達系の解析でもc-kitリン酸化は変異型で著明に亢進していたが、MAPKリン酸化はわずかに亢進するのみであり、AKTやSTAT3は変化を認めなかった。ETV1を強制発現させた場合に関してもこの3系統のシグナルの著明な変化は認めなかった。また細胞増殖能、足場非依存的増殖の上乗せ効果は認めなかった。線維芽細胞株KMAT6についてもシグナル系はほぼ同じ結果であった。一方で足場非依存的増殖はkit遺伝子、ETV1遺伝子を導入しても認めなかった。c-kit変異遺伝子により足場非依存性増殖の亢進を認めた293T細胞株6種類のサブタイプ(control、c-kit-ETV1+、c-kit野生ETV1-、c-kit野生ETV1+、c-kit変異ETV1-、c-kit変異ETV1+)についてc-Kit,ETV1発現による遺伝子の発現変化を網羅的に解析するため、マイクロアレイを行った。c-kit遺伝子単独でも2倍以上の発現変動遺伝子が1000近く存在しており、ETV1導入においても3000近い遺伝子が変化していた。非常に膨大な遺伝子が1遺伝子により変化しており、これらをGO解析やpathway解析を行い今後ターゲット遺伝子を探索していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既報の論文のような劇的な形質転換は認めず、シグナル解析でも変異kit遺伝子によるリン酸化亢進以外は著明な亢進シグナルは認めなかった。そこでアレイ解析を先行させてpathway解析を行うことに計画を変更し、25年度に予定していたアレイ解析を前倒しして実施した。これらは予想以上に膨大なデータであり、現在分析を行いターゲット遺伝子およびシグナルを選定している。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析結果をもとに選定した遺伝子(5-10程度)を臨床検体においてreal-time PCRで発現解析して臨床像と比較し、当初計画のようにGISTの悪性化へ重要な遺伝子を同定する。またpathway解析よりkit下流シグナルの新規同定を試みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養関連試薬10万円、プライマー50万円、siRNA50万円、抗体20万円、酵素20万円、マイクロアレイ50万円など
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