研究課題/領域番号 |
24790691
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀松 高博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40511829)
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キーワード | 組成イメージング |
研究概要 |
高感度近赤外光による組織イメージング顕微鏡を用いて、正常組織(非がん)と異常組織(がん)を識別するアルゴリズム作成を10検体に対して行い、異常組織(がん)を異常と認識する感度は60%程度、特異度は80%と比較的良好な結果であった。しかし、さらに8検体を追加して行ったところ、さらなる感度・特異度の上昇は認めなかった。 問題点としてがんは均一な細胞増殖形態を呈しないことも多く、実際には形態(肉眼型)や組織型(細胞の分化度)により大きく異なることから、培養細胞での正常組織(非がん)と異常組織(がん)のスペクトルの差異について解析を行った。 正常細胞としてはヒト皮膚線維芽細胞(HDF細胞)を、がん細胞としてはヒト子宮頚癌細胞(Hela細胞)を用いた。 するとがん細胞と正常細胞のスペクトルの差異は1500nm前後及び1620-1640nmで認められ、対象となる細胞が均一だと過程した場合にはアルゴリズム作成に重要なスペクトルの差異と考えられた。しかし、使用した培養細胞は1層のみであったため信頼性が不十分と考え、さまざまな厚さの細胞シートを作成して再度検討を追加したところ1490nmに関しては単位面積の細胞数が多いほど吸光度の2次微分強度差も大きくなり、細胞の厚みに依存してスペクトル変化が見られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高感度近赤外光による組織イメージング顕微鏡を用いて、正常組織(非がん)と異常組織(がん)を識別するアルゴリズム作成を目標としていたが、実際の組織では症例数を増やしても感度・特異度の上昇には限界があることから、培養細胞での検討に移行し、培養細胞におけるアルゴリズム作成を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞における正常組織(非がん)と異常組織(がん)を識別するアルゴリズム作成のためにがん細胞だけではなく、正常細胞でも単位面積の細胞数が多いほど吸光度の2次微分強度差も大きくなり、細胞の厚みに依存してスペクトル変化が見られるかどうかを検討する。また吸収スペクトルの由来について、細胞内組織を実際に分離して測定を行っていく方向である。
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