研究課題
高感度近赤外光観察による組織イメージング顕微鏡を用いて、正常組織(非がん)と異常組織(がん)とを識別するアルゴリズム作成を行った。しかし当初アルゴリズム作成に用いた10検体では、異常組織(がん)を異常として認識する感度は60%、非がんを正常として認識する特異度は80%と比較的良好な成績であったが、さらに検体数を増やして検討してもさらなる感度・特異度の上昇は認めなかった。この原因としては異常組織(がん)部は均一な細胞増殖形態を呈するわけではなく、実際にはさまざなま形態(隆起や陥凹などの肉眼型)や組織型(細胞の分化度)により大きくことなることより、まずは均一細胞増殖を呈する培養細胞を用いて検討を行った。がん細胞としてはヒト子宮頚癌細胞(Hela細胞)、また正常細胞としてはヒト皮膚線維芽細胞(HDF細胞)を用いたところ、がん細胞と正常細胞のスペクトルは1500nm前後及び1620-40nmで最も差が大きいことが示された。しかし本研究は培養細胞が1層での条件下で行ったものであり、実際の組織では何層にも重なった正常もしくは異常細胞のスペクトラムを計測していくことが必要であるため、さまざまな厚さの細胞シートを作成して再検討を行ったが、上記のスペクトルにおいては差に乏しいことが分かった。さまざまな長波長を用いて検討を行っているが、細胞の厚みに依存してスペクトルの変化を認め、培養細胞である一定の条件にそろえた場合には正常と異常細胞でスペクトルの差を認識することが出来るが、細胞密度が異なるin vitroにおいては現状の評価方法では画一したアルゴリズム作成には至っていない。今後は細胞密度が異なる条件下でのスペクトラムの変化について検討を継続していく必要がある。
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International Journal of Colorectal Disease
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