研究課題
前年度に我々は転移性肝癌モデルマウスを用いて、5-FUの投与により腫瘍部のNK細胞活性化レセプターNKG2DのリガンドであるRae-1/H60の発現が上昇することを明らかにした。またaGalCerと5-FUにより併用治療実験を行ったところ、a-GalCer/5-FU併用治療群がa-GalCer単独もしくは5-FU単独治療と比較して治療効果が優れていた。今回我々は5-FU投与がMC38細胞に対するNK細胞傷害活性に与える影響について検討した。5-FU投与群のMC38細胞においてはNK細胞に対する感受性が亢進しており、その効果は抗Rae-1抗体もしくは抗H60抗体により減弱した。続いて転移性肝癌腫瘍モデルマウスを用いてNK細胞除去実験を行ったところ、NK細胞除去群においては5-FUの効果減弱が認められ、5-FUの効果への先天免疫の関与が示唆された。今回の我々の検討により5-FU治療時における先天免疫の関与が明らかとなり、a-GalCer/5-FU併用治療の可能性が示された。前年度にソラフェニブが肝癌細胞に細胞死を誘導する機序としてネクロプトーシスの関与について検討し、ネクロプトーシス阻害剤添加もしくはネクロプトーシス関連分子であるRIPK1に対するsiRNAにより生細胞が増加することを明らかにした。今回我々はソラフェニブがネクロプトーシスへ与える影響について検討するため関連分子であるRIPK3の発現を検討した。ウェスタンブロット法によりRIPK3の蛋白発現量を検討したところ、ソラフェニブを添加後6時間よりRIPK3の発現上昇が認められた。mRNAの発現量についても検討したところ、ソラフェニブ添加後早期よりRIPK3 mRNAの発現上昇が認められた。今回の我々の検討により、ソラフェニブが肝癌細胞に細胞死を誘導する機序としてネクロプトーシスの関与が示唆された。
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