研究課題
若手研究(B)
平成24年度はヒト人工染色体(HAC)の特性を利用したダイレクトリプログラミング法を開発するため、(1)肝細胞様細胞へのダイレクトリプログラミングに必要なFoxa3とHnf4a発現ユニット(2)標的細胞へのHAC導入を確認するための蛍光タンパク質TdTomato発現ユニット(3)肝細胞への分化転換をモニターするためのアルブミンプロモーター誘導性GFP発現ユニットの構築を行った。ここでダイレクトリプログラミングに必要な遺伝子の発現量が1コピーの発現ユニットでは不十分であったり、他の遺伝子を追加することで効率的なダイレクトリプログラミングが可能になる場合、既存のシステムでは困難な複数ベクターのHACへの搭載を行うか導入遺伝子全てを組み込んだ巨大な遺伝子導入用ベクターを構築する必要がある。そこでこのような問題点を解決するため遺伝子導入用ベクターを最大3つまで同時にHACへ搭載することが可能な同時遺伝子導入システムを開発した。本システムを利用することで導入遺伝子を3つのベクターに分割することが可能となるため遺伝子導入用ベクターの構築が容易になり、またこれらを同時にHACへ搭載することでHACの構築に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。これまでにこのシステムを利用して上記(1)(2)(3)のユニットを組み込んだiHep誘導用HACの構築が完了している。次年度以降はこれを用いてiHepの誘導を行い従来法よりも均質で高機能なiHepを誘導できるか検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定通りiHep誘導用HACの構築が平成24年度中に完了しており研究は概ね順調に進行している。
今後は作成したHACを利用してダイレクトリプログラミングによるiHepの誘導を行い均質で高機能な肝細胞様細胞の誘導法を確立する予定である。この過程でさらに別の肝細胞分化に重要な遺伝子をHACに搭載することで誘導効率などが向上する可能性が考えられることから候補遺伝子のHACへの導入準備も並行して行う予定である。
試薬購入費の振込経費が研究所内の他研究者と按分になったため、210円を次年度の研究費として利用することが可能となった。次年度は多くの消耗品を購入する必要があるため次年度請求研究費と合わせてこれに充てる予定である。
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