研究実績の概要 |
当年はこれまでに開発したHACへの効率的な遺伝子導入技術であるSIM法の有効性を検証するためEGFP, Venus, TdTomatoの3色の蛍光タンパク質発現ユニットを3つの遺伝子導入用ベクターに組み込み、リコンビナーゼ/インテグラーゼ発現ベクターと共にHAC保持CHO細胞に導入した。その結果、3種類の蛍光タンパク質発現ベクターを同時にHAC上に組換え導入できることが確認された。またこのHACをNIH3T3細胞に導入することで3色の蛍光を発するクローンが得られたことから、本手法を用いて構築したHACは他の細胞へ移入させることで様々な解析に利用可能であることが証明された。また遺伝子導入カセットを変更することで、遺伝子導入用ベクターを1つずつ連続に導入することも可能であった。さらに同時導入法と連続導入法を組み合わせることで4つ以上の遺伝子導入用ベクターを迅速に導入することも可能であることを示した。これらの結果を論文発表した。(Suzuki, T. et al., PLoS One (2014)) 次に本法により作製したiHep誘導遺伝子群搭載HACを、改変微小核細胞融合法により線維芽細胞に高効率で導入することに成功した。これまでに最大3コピーのiHep誘導遺伝子群を搭載したHACを構築したがiHepの誘導には至っておらず、iHep誘導遺伝子群の発現量が十分ではない可能性が考えられる。iHep誘導遺伝子群を高いレベルで恒常的に発現するHACをクローニングすることは困難である可能性も考えられることから、今後はiHep誘導遺伝子群を薬剤誘導性にするなど改良を行い、均一で高品質なiHepの誘導法を確立させる予定である。
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