研究概要 |
Barrett食道及び腺癌発生におけるNotchシグナルとKLF4の関連については明らかとなってない。そこで、食道扁平上皮の恒常性維持におけるNotchシグナルとKLF4の機能解析を行うと共に、Barrett食道及びBarrett食道を発生母地とした腺癌の発症機構におけるNotchシグナルとKLF4の関与の詳細を解明することを目的とし、今年度は以下の研究実績を得た。 1.食道扁平上皮におけるNotchシグナルとKLF4発現状況の解析 ヒト生検組織及び手術標本を用いて、食道扁平上皮におけるNotchシグナル関連因子(Notch1,Hes1,Math1/Hath1)とKLF4の蛋白発現を免疫組織染色法にて検討を行った。Notch1については食道扁平上皮の細胞質に発現を認めたが、KLF4については発現を認めなかった。また、Hes1については扁平上皮の核内において発現を認めたが、Math1/Hath1については発現を認めなかった。続いて、不死化ヒト食道扁平上皮株(Het-1A)におけるNotchシグナル関連因子の発現状況を蛋白レベル(Western Blot)及びmRNAレベル(定量PCR)にて検討した。この結果、免疫組織染色法による検討と同様にNotch1,Hes1は蛋白・mRNAレベルで共に検出されたが、Math1/Hath1,KLF4については検出されなかった。 2.Barrett食道・食道腺癌におけるNotchシグナルとKLF4発現状況の解析 組織学的にBarrett食道・腺癌と診断されたヒト生検組織及び手術標本を用いて、Notchシグナル関連因子(前述)とKLF4の蛋白発現を免疫組織染色法にて検討を行った。Barrett食道・腺癌におけるNotch1発現は食道扁平上皮と発現に差を認めず、腺癌組織において著明なHes1発現低下とMath1/Hath1,KLF4発現亢進を認めた。
|