研究課題/領域番号 |
24790700
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岸本 浩行 岡山大学, 大学病院, 助教 (50613155)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大腸癌 / アデノウイルスベクター / 内視鏡治療 |
研究概要 |
早期大腸癌は、内視鏡的粘膜下層剥離術などの内視鏡的治療により,根治が望める可能性が高い。しかし、早期大腸癌でも粘膜下層まで浸潤している場合は、約10%にリンパ節転移を認めるため、標準治療はリンパ節郭清を伴った外科的切除とされている。我々は、以前、がん細胞で高発現しているテロメラーゼの構成成分の一つであるヒトテロメラーゼ逆転写酵素のプロモーター依存性に、がん細胞で選択的に増殖し細胞死を誘導するアデノウイルス製剤(OBP-301)を開発し、それを進行直腸癌へ局所投与することにより、ウイルスが領域リンパ節に到達し、リンパ節の転移病巣内で増殖してリンパ節転移を幾分、抑制できることを報告した。このOBP-301は、米国において各種進行固形癌患者に単独投与され、平成20 年で第I相臨床試験が終了し、その安全性と臨床効果が確認されている。我々は、リンパ節転移の危険性が10%程度あるばかりに、リンパ節廓清のための外科手術が必須とされている大腸癌の粘膜下層浸潤癌症例において、(内視鏡的)腫瘍切除の際に腫瘍近傍へ増殖型ウイルスOBP-301 の注入を併用するという非常に簡便・低侵襲な処置で、外科治療の必要性の根拠となっているリンパ節転移を制御できないかと考えた。本研究により患者に優しい低侵襲治療の一選択肢を提案し、過剰な手術を避けることによる医療費の節減、治療後の患者の生活の質の向上に貢献できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成24年度には、 1) 本研究に最適な抗がん効果の判定のための直腸がんマウスモデルの作成 2)腫瘍切除とOBP-301の併用はリンパ節転移を抑制できるかの検討 を計画していたが、1)に関しては、簡便、時期をそろえて必要な動物数が得られ、解析がしやすいモデルを作成することができた。また、2)に関してはマウスモデルにおいて実際に腫瘍の局所切除ができることを確認し、OBP-301の併用にてリンパ節転移の抑制が期待できるデーターが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の続きとして、腫瘍切除とOBP-301の併用によるリンパ節転移の抑制に関する検討を継続する。また、リンパ節転移の抑制を向上させるために次のような項目に関しても検討を進める。 ①OBP-301の投与量を増減して至適投与量に関する検討を行う。 ②OBP-301のリンパ節転移の抑制を増強させるために、他の治療法の併用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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