研究課題
我々は「肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)」の臨床的有効性及び安全性を明らかにし、先進医療Bに認可された。しかし、骨髄細胞投与が肝発癌を促進させる懸念があるため肝細胞癌合併例にはABMi療法の適応はない。そこで高発癌肝硬変マウスに同種同系GFP陽性骨髄細胞を頻回投与する「DEN/GFP-CCl4マウスモデル」を作成し肝発癌動態への影響を評価したところ、骨髄細胞投与により肝線維化と肝発癌は抑制されることをこれまでに確認してきた。そこで本研究では、骨髄由来細胞投与により肝内re-doxは制御され、肝線維化および肝発癌が抑制されるメカニズムを解明することを目的とした。初めに、骨髄細胞による酸化ストレス抑制メカニズムを解明するため、酸化ストレス誘導下における培養骨髄由来細胞の肝星細胞や肝細胞への影響を共培養系で評価したところ、その共培養により肝星細胞や肝細胞の酸化ストレス障害を有意に抑制した。また酸化ストレス誘導下では骨髄間葉系細胞自体のLDH放出やROSもむしろ抑制されており、その細胞増殖や生存率も増加していた。さらに、培養骨髄間葉系細胞を肝硬変モデルマウスに投与したところ肝線維化は抑制され、血清ヒアルロン酸低下、血清抗酸化能亢進、肝脂質過酸化の抑制も確認された。以上より、培養骨髄間葉系細胞にはre-dox制御能があり肝線維化抑制効果もあることから、肝再生療法の有用な細胞源となり得ることが示された。
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