研究課題/領域番号 |
24790708
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土方 康基 九州大学, 大学病院, 助教 (80460856)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 免疫療法 / 抗腫瘍免疫 / 臨床試験 |
研究概要 |
本試験は標準治療無効となった進行固形腫瘍患者を対象にした化学療法併用新規免疫細胞療法の2段階容量漸増試験(各5例ずつ)で、現在2段階目の4例目を遂行中である。そのうち2例が試験を無事完遂し、1例が途中で病死のため中止、1例が継続中である。死亡した例については速やかに病院長に連絡し、本院臨床倫理委員会、先進医療適応評価委員会に報告し検討された結果、原病死との判断を頂いている。よってこれまで本試験に起因する重篤な有害事象は認めていない。細胞製剤は細胞調整室(Cell Processing Center)にてGood Manufucturing Practiceレベルで作成し、環境試験や無菌検査、PCRやMycoAlretを用いたマイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験を各細胞製剤(樹状細胞やCTL)で行った。また樹状細胞は全例成熟化マーカーが高く発現していることをFACSにて確認し、CTL製剤もT細胞表面マーカーが98%以上認められ、その内、制御性T細胞は皆無であり、品質試験検査に問題はなく、全例出荷基準を満たして無事投与することができた。我々は標準作業手順書(SOP)をコンピューターに入力し現場と中央モニター室とで一元的に管理し、製造管理から品質管理を行い、それらのバリデーション作業も文書化して管理している。 現時点での免疫学的解析では、少量化学療法シクロフォスファミドを投与すると末梢血中の制御性T細胞の割合が有意に低下する事を認めている。また抗腫瘍効果が認められる例では、本試験後に末梢血中のRNF43特異的CD107a/b陽性T細胞が増加し、無効例では低下あるいは認められない傾向が示唆されている。また血清IL-6、IL-10濃度が高い例では抗腫瘍効果を得られていないなど、バイオマーカーの検索を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1例の試験期間が4ヶ月であるため、当初の予定していた試験完遂症例を約3例に目標設定していた。現在4例の症例が試験に参加頂き、3例が試験を終了して、そのうち完遂例は2例である。現在遂行中の4例目も無事完遂できる状況と考えられる。さらに現在試験開始予定の5例目の準備も始めている。
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今後の研究の推進方策 |
本試験は残り2例の完遂症例を経て試験終了となる。その後安全性評価ならびに臨床効果と免疫反応の関連性を解析する。これらは、当大学の臨床試験データセンターで作成されたCRF(記録用紙)に登録され、第3者の立場の機構が管理し、患者登録・割付、進捗管理、データ管理、モニタリング、統計解析、報告書作成などを行い、臨床研究の結果の信頼性を担保するための品質管理を行っていく。また臨床的効果の高い結果を確認すれば先進医療Bへの移行も視野に入れたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養工程に必要なサイトカインなどの試薬、GMPグレードの無血清培養液、容器など物品の購入。 免疫解析に必要な抗体等試薬の購入。 学会発表における交通費等。
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