研究課題
血中遊離脂肪酸による肝細胞死は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態に関与する。我々は脂肪酸による肝細胞アポトーシスを抑制し、NASH治療に貢献する可能性がある因子について研究していた。Inhibitors of Apoptosis (cIAP-1, -2, XIAP) はDeath receptor 5(DR5) によるシグナルを抑制する因子して知られているがこれまでNASHへの関与は検討されていなかった。我々はIAPの変動とdeath receptorsを介した細胞死の関連について検討した。培養ヒト肝細胞癌株Huh-7、WTマウスおよびDR-/-マウスから遊離した肝細胞を用いの飽和脂肪酸(palmitate)を付加した。IAP蛋白をウェスタンブロットで、検討した。するとcIAP-1, cIAP-2 蛋白はいずれもPA (800μM)の刺激により、4時間前後で減少した。またcIAPの速やかな減少をきたす薬剤であるsmac mimeticは、パルミチン酸によるアポトーシスを増強させた。次に我々は、cIAP減少はDR5シグナルの下流で細胞死を促進していると推測し検討を行った。事実、smac mimeticによるIAP減少はDR -/-マウスの遊離肝細胞では脂肪酸によるアポトーシスを増強しなかった。以上のことよりcIAP-1の減少cIAPの減少が飽和脂肪酸によるDR5 pathwayを介した細胞アポトーシスに寄与していると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
抗アポトーシスタンパクであるcIAが、P脂肪酸による肝細胞アポトーシスを抑制する因子であることを証明した。この発見は、将来NASH治療を考えるうえで重要な発見と考える。現在はそのアポトーシスを起こす機序について検討中である。
今後は、cIAPのNASHにおける役割がどのような機序で行われているか、さらに検討するとともに、NASHを抑制しうる新たな因子についても検討していきたい。
すべて 2013
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PLOS one
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Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.
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