正常腸管上皮幹細胞マーカー遺伝子であるLGR5を標的とし、蛍光蛋白レポーターおよびlineage tracerであるCreERのヒト腸管上皮オルガノイドへのKnock-inを試みた。最新のゲノム編集技術であるTALENおよびCRISPRを用いて遺伝子相同組換えによる遺伝子Knock-inに成功したが、蛍光蛋白レポーターの発現が確認できなかった。原因として組換え後の標的遺伝子のサイレンシング、プロモーターの干渉などが考えられたため、新たなTargeting vectorを作製した。 LGR5は非常に発現レベルが低いため新たなTargeting vectorの評価には適さないと考え、大腸癌において発現レベルが高いEpiregulin(EREG)を標的とし、蛍光蛋白レポーターのヒト大腸癌オルガノイドへのKnock-inを行った。得られたKnock-inオルガノイドは蛍光蛋白レポーターの発現が確認され、組換え後のサイレンシングも認められなかった。現在、この新たなTargeting vectorを用いてLGR5およびBMI1遺伝子座への蛍光蛋白レポーター及びCreERのKnock-inを試みている。 今後はLGR5およびBMI1遺伝子座にKnock-inされたCreERを利用し、Cre-activatable reporterによるlineage tracingを行い、ヒト正常大腸上皮および大腸癌における幹細胞ヒエラルキーの解明を進める予定である。
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