研究概要 |
本年度は、C型慢性肝炎患者末梢血中のHCV特異的CD8T細胞、NK細胞、NKT細胞の機能解析を行った。HCV特異的CD8 T細胞の解析はHLA A24患者のNS3 1073, 1406, 2594領域のClass 1 tetramerを用いた。既存の報告どおり、C型慢性肝炎患者のHCV特異的CD8 T細胞は、同一患者のEBVやInfluenza virus特異的CD8 T細胞と比較してPD-1, CTLA-4, LAG-3などの抑制性補助刺激分子の発現が高く一部の細胞は複数の抑制性補助刺激分子の共発現を認めた。特にHCVウイルス量が多いほど、複数の抑制性補助刺激分子の発現を認めた。HCV特異的CD8 T細胞の機能解析はin vitroにおけるHCVペプチドの刺激後のTNFa/IFNg/IL10産生(フォローサイトメトリーを用いた細胞内サイトカイン染色、およびElispot)により検討した。非常に興味深いことにPD-1陽性HCV特異的CD8 T細胞は陰性分画と比較し有意にTNFaの産生能が低くIL10産生が高い傾向にあり、これらの結果からHCV持続感染により一部のHCV特異的CD8 T細胞は抑制性補助刺激分子の発現を介して免疫寛容に陥っている可能性が示唆された。 1型HCV陽性患者末梢血において、2型HCV陽性患者と比較してNKT細胞のNKG2D発現が有意に低い傾向にあった。さらにNKT細胞におけるNKG2D発現とin vitro刺激後のTNFa産生能は逆相関しており、本細胞も免疫寛容に関与している可能性が示唆され、次年度以降に検討を行う予定である。
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