研究概要 |
第3世代薬剤溶出性ステント(DES)であるバイオリムス溶出性ステント(BES)と第1世代DESであるシロリムス溶出性ステント(SES)をブタ左冠動脈に留置し、1ヶ月目および3ヶ月目でIn vivoでの血管反応を検討した。SESではセロトニン冠動脈内投与によりステント留置近傍の過収縮反応が認められ、この過収縮反応はRhoキナーゼ阻害薬であるハイドロキシファスジルの前投与によって抑制された。一方BESにおいては、ステント留置近傍の過収縮がSESと比して有意に抑制されていた (BES 22±10 vs. SES 54±24%, P<0.01, n=8 each)。また3ヶ月目での血管反応性評価では、SESのステント近傍ではセロトニンによる過収縮反応が認められていたが、BESでは過収縮反応抑制効果が持続していた (BES 18±12 vs. SES 36±16%, P<0.05, n=8 each)。一方でブラディキニンによる内皮依存性弛緩反応やニトログリセリンによる非内皮依存性弛緩反応は2群間で差を認めた。In vivoでの検討後ステント留置部の冠動脈を摘出し組織学的評価を行ったところ、第1世代DESであるSESでは炎症反応の亢進や微小血栓の形成が認められたが、第3世代DESであるBESではこれらの反応が有意に抑制されていた。以上から第3世代DESであるBESでは、第1世代DESで認められた異常血管反応が改善することが示唆された。
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