研究概要 |
1年目の研究において第3世代薬剤溶出ステント(Drug eluting stent, DES)であるバイオリムス溶出ステント(Biolimus eluting stent, BES)では、第1世代DESで認められた異常血管反応が改善することが示唆された。 昨年度は、BESの異常血管反応抑制効果の機序として、冠動脈外膜のVasa vasorumに着目した。冠動脈外膜のVasa vasorumは、近年冠攣縮の機序として注目されている。我々は動物(ブタ)およびヒトの剖検組織を用い、冠動脈外膜のVasa vasorumの観察における新世代冠動脈イメージング・光干渉断層画像(Optical coherence tomography, OCT)の有用性を検討し、実臨床において冠動脈外膜のVasa vasorumを定量的に評価し、Vasa vasorumの様相を立体的に描出する手法を確立した。増生と炎症性変化を減衰し、冠動脈過収縮反応を軽減し得ることも確認した。第1世代DESであるシロリムス溶出ステント(Sirolimus eluting stent, SES)とBESを留置したブタ冠動脈外膜のVasa vasorumを、免疫染色標本、Micro CT、そしてOCTにて評価したところ、SESではVasa vasorumの増生がステントの端まで確認できたが、BESにおいてはその増加が抑制されていた。 以上の検討から、DESの異常血管反応に冠動脈外膜のVasa vasorum が関与し、BESの異常血管反応抑制効果の機序として冠動脈外膜のVasa vasorumの抑制効果が示された。
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