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2012 年度 実施状況報告書

PIK3C3の心筋症および心不全に対する発症抑制機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24790734
研究機関秋田大学

研究代表者

木村 洋貴  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30382899)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードPIK3C3 / 心筋症 / 心不全
研究概要

PIK3C3は,ホスファチジルイノシトール 3 リン酸 (PI3P) を生成する酵素である.筋特異的PIK3C3欠損マウスに,肥大型心筋症様の著明な心室肥大,心不全,突然死,心室性不整脈の自然発症を認めた.心臓超音波検査で検討すると,筋特異的PIK3C3欠損マウス心室は顕著な収縮障害を呈した.植え込み型心電図では,心室性不整脈,伝導障害,QT延長を検出した.
組織染色では,心室の線維化はなく,単離心筋細胞の肥大およびタンパク質蓄積を認めた.
PIK3C3欠損下のPI3P量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ,心室PI3Pレベルは低下傾向を示した.EEA1(Early endosome antigen 1)-FYVEドメインとGFPの融合タンパク質を発現するトランスジェニックマウスと筋特異的PIK3C3欠損マウスとを交配しPI3Pの細胞内レベルを検討した.筋特異的PIK3C3遺伝子欠損マウスではGFPの輝点が顕著に低下した.
LC3-GFPトランスジェニックマウスとPIK3C3flox/floxマウスを交配し,LC3可視化筋特異的PIK3C3欠損マウスを作製し,LC3の凝集を蛍光顕微鏡で観察した.心組織から細胞溶解液を調製しLC3プロセッシングをウエスタンブロット法で検討した.電子顕微鏡でオートファゴソーム形成を検討した.筋特異的PIK3C3欠損マウスでは,LC3-GFP凝集とオートファゴソーム形成とを認めた.LC3プロセッシングも認められた.さらにオートファジー機能喪失モデルである筋特異的Atg5欠損マウスと比較検討した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

筋特異的PIK3C3欠損マウス由来の心筋組織を用いて細胞生物学的解析を行い,心筋細胞肥大化の機序,心臓でのオートファジー制御へのPIK3C3の関与についての知見を得た.筋特異的Atg5欠損マウスと比較し,PIK3C3のオートファジーにおける役割を詳細に検討した.
交付申請署に記載した「研究の目的」については上記の通り解析が進捗し,「研究計画」の平成24年度分はほぼ遂行できた.
「研究計画」の平成25年度分については,細胞株での解析,早期エンドソームでの小胞輸送や受容体リサイクリングに関する解析の準備がほぼ整った.さらにヒト心筋組織でのPIK3C3遺伝子発現を検討している.
以上より,おおむね順調に推移している.

今後の研究の推進方策

PIK3C3の心筋エネルギー代謝への役割を検討する.栄養シグナル伝達や心肥大に関与する分子や関連分子のシグナル伝達の変化についてウエスタンブロット法で解析する.心臓のエネルギー基質である脂肪酸やグルコース取り込みやエネルギー基質の指向性の変化を解析し,心筋細胞肥大,心肥大や心不全の発症機序と合わせて検討する.
P19.CL6細胞株を用いて,PIK3C3欠損下での脂肪酸アナログやグルコースアナログ取り込み能の解析,同細胞株を免疫染色して早期エンドソーム上で小胞輸送に関与するタンパク質(Hrsなど)の局在変化を蛍光顕微鏡で観察する.小胞輸送阻害によって蓄積するタンパク質をウエスタンブロット法で検出し,PIK3C3の小胞輸送での役割を総合的に検討する.また,PIK3C3欠損により受容体がいかなる局在を示すのか,P19.CL6細胞株のPIK3C3遺伝子をknock-downして解析する.
心筋症症例や心不全症例の心筋組織あるいは正常心筋組織を解析し,PIK3C3遺伝子発現とこれらの疾患との相関を検討する.

次年度の研究費の使用計画

該当なし.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Critical roles of type III phosphatidylinositol phosphate kinase in murine embryonic visceral endoderm and adult intestine.2013

    • 著者名/発表者名
      Takasuga S, Horie Y, Sasaki J, Sun-Wada GH, Kawamura N, Iizuka R, Mizuno K, Eguchi S, Kofuji S, Kimura H et al
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 110 ページ: 1726-31

    • DOI

      doi: 10.1073/pnas.1213212110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deletion of Autophagy-related 5 (Atg5) and Pik3c3 Genes in the Lens Causes Cataract Independent of Programmed Organelle Degradation.2013

    • 著者名/発表者名
      Morishita H, Eguchi S, Kimura H, Sasaki J, Sakamaki Y, Robinson ML, Sasaki T, Mizushima N.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 288 ページ: 11436-47

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M112.437103.

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂質キナーゼPIK3C3欠損による自己免疫疾患2013

    • 著者名/発表者名
      江口賢史,木村洋貴,浅沼研,堀江泰夫,佐々木純子,佐々木雄彦
    • 学会等名
      第11回北東北血液研究会
    • 発表場所
      秋田市
    • 年月日
      20130427-20130427
  • [図書] 最新生理活性脂質研究とその臨床・創薬応用研究(仮題) 遺伝子医学 MOOK 24号2013

    • 著者名/発表者名
      木村洋貴,小藤智史,佐々木雄彦
    • 総ページ数
      8 頁分(印刷中)
    • 出版者
      メディカル ドゥ

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公開日: 2014-07-24  

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